HAL. さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
登場人物のリアクションが病的、なときがある。
キャラクターの生き生きとした表情や、感情表現につながる動作、背景の描写、
文字や図解のデザイン処理など作画の良さはずば抜けていると感じた。
ただ一方で、
推論が外れたときの主人公のショックの受け方や、
仲間内での関係性、表面上は群れているくせにどこかギクシャクした感じとか、
心理描写に違和感を覚えるところもしばしば。
結局、1~22話まで穏やかな雰囲気のまま終わったのだけど、
何かのキッカケで古典部のメンバー達の関係が壊れてしまいそうで、
見ていて疲れを感じるときも正直あった。
僕としては、もっと落ち着いて見たい、というのか、
推理要素だけじゃなく、ほほえましさとか、
青春のこそばゆさなんかも楽しみたかったのだけど、
そんな気分にはなれなかったのが残念…、でもないけど……、なんだかなぁ。
こういう、屈託のある装いがリアルな人間関係の表現だと言われると、
全力で否定したくなってしまう。
現実の人間よりもリアクションが読めないキャラ造形は、
さすがに無理があったように思う。
(ひどい感想だけど、個人的には、古典部メンバー全員が心を患っているように見えた)
と、全体の空気の話は置いておいて、
内容に関してはとっても新鮮に見られたと思う。
推理モノって合理的な世界観のなかで機械的な推論が展開されることが多いけど、
氷菓では、人間の気まぐれさや妙なこだわり、
人の持つ「ゆらぎ」みたいなところまでひっくるめて
「読み切る」ことで結論に至っていたのが一つの個性になっていたのかな、と。
また、解決される謎そのものは単純な構造でも、その演出が叙述トリック的というのか。
1話の結末とか学園祭の、犯人と対面するシーンとか、
視聴者が謎解きに一生懸命になったところを、サラリと軽やかにいなされる感じが、
いい意味で「してやられた」気分にさせてくれていたと思う。
特に映画研究会の話では、
最初、主人公と一緒の推理をしてしまった自分に驚いた。
人間って、正しい答えにこだわると、
こんなにも人の気持ちをないがしろにしてしまうものなんだなぁ。
騙されがいのあるアニメだと思う。