ほるん吹き さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
迫られる運命の選択…。 そんなことよりレビューだ!
過去の世界に情報を送り、間接的に未来を変えることもできる力を持つ「Dメール」。
何度か実験を繰り返すうち、過去改変により世界線を移動し、確かに世界が変わったことを実感する岡部ですが、前の世界線から記憶を正確に受け継げるのもなぜか岡部だけ。
なぜ彼だけが、そしてそれによってどんな運命が待ちうけているのか。
壮大なタイムリープものの作品です。
以下、ネタバレありの感想。
{netabare}
前半では、中二病的発言を繰り返して痛々しいだけでしかなかった岡部が、まゆりや紅莉栖を救うために、極限まで知恵と勇気を絞り出して走り続ける姿には誰もが心打たれた事でしょう。
でも、岡部がまゆりを死の運命から救うために、何度も何度もタイムリープを繰り返す姿は、むしろ逃れられない呪縛に苦しんでいるようにも思えて、観ていてとてもつらかったです。
結果よかったものの、あのまま永遠に同じ時間を繰り返し続けていたらと思うとゾッとします。
悲しい過去を変えたいなんて誰でも一度は願う事だけど、それが度を過ぎるとさらなる悲劇を生みだすだけなのかもしれないと、私自身試聴していて思い知らされました。
回数制限のないタイムリープは結果が出るまでそれを何度も求め続けることが出来てしまうし、何がその世界線で事実であったか見境がなくなってしまうというのが恐ろしいです。
タイムリープをもし利用するなら計画的に、用量・用法をよく守りましょう。
岡部を支え続けた仲間たちもまた魅力的ですね。
まゆりはただそばにいるだけで安らぎを与えてくれて、いつも思いつめたような表情を見せていた岡部を落ち着かせていました。まゆり自身は何の力にもなれていないと感じていたようですが、充分彼の救いとなっていたのは明らかです。
紅莉栖もまた、くじけそうになる岡部に手を差し伸べ、前を向かせようと必死に鼓舞し続けていました。彼女の科学者としての知識や洞察力も岡部の力となり、共に苦難を乗り越えていく頼もしいパートナーでした。
たとえ世界線が変わって以前の記憶がなくとも、岡部が何と戦っているか分からなくとも、彼女らは変わらず彼の力となり励ます姿がありました。岡部の人望というか、真の信頼関係あっての事なのですが。
そういえば中二発言の数々も、終盤であればあるほど胸に響くものがありました。ここまで印象が変わる主人公も珍しいと思います。
{/netabare}
全体を通しての総評
さまざまな時間軸の存在による出来事の矛盾、張りめぐらされた伏線の回収など色々整理が大変そうな作品でしたが、ストーリーが大きく破綻する事もなくきれいに話がまとめられていました。
大きく物語が動き出すのは後半からで、前半はキャラや彼らの日常会話劇などに好感が持てなければ、つまらないと感じて視聴をやめてしまう人が多いのが残念です。
とりあえず騙されたと思って1クール分は観てほしい作品ですね。