HG anime さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
現代におけるアニメ版2001年宇宙の旅
といえるほどリアルな世界観。2070年代の宇宙を舞台に数々の人間ドラマが展開されている。この完成度はすさまじく、視聴者を惹き込み、啓蒙させる。美しい宇宙に魅せられた人類は20世紀には宇宙に繰り出したが、そこは人類にとってこの上なく過酷な環境であった。灼熱であり極寒であり、宇宙線は人体を蝕み、暗黒は精神を蝕む。それでも人類は宇宙に魅せられ、何かを犠牲にしてでもその深淵へと身を投じる。そんな中で、主人公は自分とはなんなのか、人間とはなんなのか苦悩し、宇宙と地球の境界で進む道をなかなか選択できない。彼が出した答えとは・・・。
またこの作品はなかなか良質の反戦、反差別作品である。有史以来・・・いや、人類がコミュニティーを形成した頃から現代に至るまで闘争は絶えず起こっている。人類は未来永劫戦争をなくすことはできないだろう。戦争の理由はさまざまだが、大きな目的の一つは領土である。だが宇宙から地球を眺めると、そこには国境はない。当然、風や動物は国境などで行動制限されていない。人類は自身で自身を縛っているようにもみえる。私もほとんどの人間も祖国の領域を侵犯する者には大きな嫌悪や憤怒を覚えるものだが、この作品を観ると「国境」に疑問を抱く。
さすがNHK。無人惑星サヴァイヴにつづき採算度外視で超絶完成度のアニメを作ってくれたことに感謝したい。