STONE さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
変態性を持つ、純愛もの
原作は未読。
80年代の漫画を思わせる古臭い感じの絵、パッと見は可愛げのないヒロイン、そして、
よだれで繋がるという変態性満載で、これは見る人を選ぶ作品といった印象だが、これらが
受け入れられるのなら、前述のマイナス要素と思われたものが他作品にはない個性として
光ってくる。
個人的には変な中毒性があり、ドンドンはまっていった。
よだれを始めとするキワモノ色が目立つが、話の骨子はピュアな純愛ストーリーであり、
シュールな雰囲気の中にありながらも清々しい気分にさせられる。
特別大きな事件もなく、キャラの数も少ないのだが、話の作り方と演出がうまく、たいした
ことないようなことも、たいしたことのように見せてしまい、毎回飽きさせない。凄く
ちゃんと作られていることがよく判る作品だった。
ヒロインの卜部だが、前髪で目を隠しちゃっているうえ、行動、態度がちょっと変わって
いる。そして、よだれを通じて、相手の考えが判るという謎の娘。
この正体について敢えてSFやファンタジー的回答を用意していないところが、タイトル
通り謎ということで良かった。卜部がUFOのグッズを所有しているのはミスリードを誘う
ためかなと思ったりした。
まあ、原作はまだ続いているようで、最後の最後に実は宇宙人だったというオチがあったり
するのかもしれませんが。
一見、クールで変な娘といった感じの卜部だが、単に必要以上に他人と接しようと
しないのと、他人が自分をどう見るかをあまり気にしないタイプなだけみたい。加えて
照れ屋というのもあるのかな。
性格自体は凄く素直ないい娘で、プライベートでの服装や行動などはごく普通といった
印象。作品自体には登場しなかったが、家族とも仲いいみたいだし。
この卜部の声だが、初回に聞いた時はかなりインパクトがあった。この卜部役の吉谷 彩子
さんだが、この作品がデビュー作だったようで、良くも悪くも声優さんっぽくない。
結構、賛否両論だったみたいだが、個人的にはこの声優っぽくない感じが、妙に生々しく
感じられて、独特の個性を持つ卜部というキャラの肉付けに一役買っていたように思われた。
主人公の椿 明が少しづつ卜部と気持ちを通じ合わせていく過程が微笑ましいが、椿に
とって卜部は謎の存在であるという部分はずっと残っている。
思えば男子にとって、女子というのは完全には理解しきれないもので、謎の多い卜部という
存在は女子そのもののメタファーなのかもしれない。
この椿を始め、クラスメイトの上野 公平などの男子の行動が、いかにも「男の子」という
感じで、自分のような10代を遙かに過ぎた身としては懐かしさも感じる。
懐かしいと言えば、携帯やパソコンのない生活環境もそう。
ただ、これは時代を昔にしているのではなく、簡単に連絡を取れないようにするための
パラレルワールド的設定みたい。「あの夏で待ってる」もそんな感じだったような。