ギータ さんの感想・評価

3.2
物語 : 2.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 2.5 状態：観終わった

原作ゲームのアニメ展開について　※クラナドのネタバレ含みます

以前、エンジェルビーツの感想で尺の足りなさを指摘しました。
リトバスは２クール展開、そしていかにも２期がありそうな終わり方をしました。物語を成立させるために十分な尺を確保しているかなと思います。

それで面白かったかといえば、正直そうでもありません。どのエピソードもパンチ不足だったというのが率直な感想です。
エンジェルビーツが尺を確保したら、今回のリトバスのようになるのかなとさえ感じました。


パンチ不足と感じた要因１つだけ述べます。
{netabare}
リトバスは友情、仲間をテーマの中心に置いた作品ですよね？そして、クラナドが家族、Airが親子といった感じだと思います。
仲間をテーマにしているものの、その描写があまり見えませんでした。私としては、これに尽きると思っています。お笑いパートだったり、野球パートなどの日常パートでは描写はあるのですが、物語の大事なシーン、見どころと呼べるところは、そのルートのヒロインと理樹の２人による描写ばかりでした。
ゲームだったらそれぞれのルートでエンディングにいくのでまだそれでいいと思いますが、１つ１つのルートをつなぎ合わせて作るアニメではもっと工夫が必要だと思うんです。
主要となるキャラが多いのに、大事なところを理樹ばかりに働かせた結果、日常パートで他のキャラ同士の絡みを見ても、ただ意味もなく出しているだけというような印象になりました。ましてや仲間を主題に挙げている作品がこれではいけないと思います。もっと他のキャラ、もしくは全員で助け合うといった描写を入れる必要があったと私は思います。
{/netabare}

原作ゲームのアニメって各ルートをつなげるのが非常に難しいと改めて思いました。
主人公に比重が大きくなるのなんて当たり前なんです。そのため、原作のルートをただつないだだけではダメです。主人公以外のキャラが薄くなってしまいます。この作品のテーマを今一度確認し、それに合うアニメになるように少しずつ原作に付け加えていかなければならなかった、今回のリトバスはそこを怠ったと感じました。

key原作をアニメ化してきた主な制作会社は京アニでした。
京アニは原作に忠実な作りが好評と聞くこともありますが、付け加えると、ゲームとアニメの違いを理解した上でアニメで展開するために少しずつ変化や付け足しをし、それでいて原作に忠実な物語を作り上げたんです。今回のリトバスを見て、さらに京アニがとんでもない会社だという感想を持ちました。

リトバスは原作未プレイですが、クラナドはやったことがあります。
リトバスとクラナド（１期）の決定的な違いは２つあります。{netabare}
まぁほとんど述べてきたことと一緒ですが、主人公が一人で行動するか、大事な場面に他のキャラも絡んできているかという点です。
クラナドのゲームの方は、ゲームということもあってある程度一人でいる場面、一人で行動することも多いです。しかし、アニメで一人で行動することはほとんどありません。各ルートの話を展開している時も同様です。風子編しかり、ことみ編しかり、主人公の智也だけでなく、主要キャラたちが時間を共にし、そのルートの最後まで一緒にいます。リトバスよりもクラナドの方がよっぽど友情を感じますね。それでいて家族の描写もしっかりありますからね。
一緒にいた積み重ねがあるから風子のラストでも、伝説のテニスコートのシーンでも大きな感動を生むんです。感情移入させられるんです。ただお笑いのシーンだったり日常の傍らに出すだけではダメなんです。それでは後の見せ場や自分のルートの話でも感情移入はできません。
リトバスは尺の使い方を間違っていると感じました。１話全てを日常回にしたりしてましたが、それよりも進展回での他のキャラクターの描写をもっと入れてほしかったです。理由は今まで述べてきたとおりです。 {/netabare}


２期ある感じで終わりましたが、１期の出来を見て、２期をやっても、後に見せ場が待ってるとしても感動できないだろうなと感じました。それだけテーマをうまくさばけなかった出来だったと感じました。原作未プレイではありますが、ゲーム原作をアニメにするには、アニメで展開するための工夫をしなければなりません。たとえそれが名作と呼ばれるゲームだったとしてもです。