メルヘン◆エッヘン さんの感想・評価

4.2
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態：観終わった

きわめて上質な物語：：こっそり、号泣した。

つづきの「Ⅱ」で完結する作品ですが、ほぼ全体を通して。（やや草稿気味で）

キャラクターの立ち具合がどうのこうのという作品でもなく、作画もおおきくは関係なく、その他いろいろ関係なく……物語性がこの作品の真骨頂である。

▲苦しい恋の配置

美大生たちの複雑で「苦しい」恋模様がちりばめられ、思いはが報われるのか、やきもきしつつも、すべてが丸く収まる結末などないことに、絶望を覚える。作者は、実にいじわるだ（＝物語の作り方がうまい）。

{netabare}山田あゆみが真山を追い、真山は原田理花を追う。山田の恋は叶うことはとうていない。僕らはそう思う。それはあんまりだとさえ思う。これじゃ三角関係も成立しない。原田は、亡き夫を思うのだ。{/netabare}誰が幸せになれるというのだ。

これに加わるのが、{netabare}設計技師の野宮だ。野宮は謎めいた行動の結果もあって、山田に思いをよせる。そして、山田も目の前の幸せか、思い続けた真山か、{/netabare}彼女は、ディレンマに陥っているかのようにみえてくる。

そして、主人公である竹本は、{netabare} 花本はぐみを追い、森田忍も彼女を思う。そして、花本修司も、花本はぐみを思っていることが明らかになる。 {/netabare}三角+1の構造ができあがっている。

考えてみると、こういう構造って大学などでは実はよくあることのひとつだ。意外に現実味も感じて、観てしまったのはそういうところにあったのだろう。（最近の大学生については知らないけれども）


▲自分を探す。答えを探す

天才的な登場人物も、平凡な者も、みなが自分を探そうとしていたり、それぞれの答えを探そうともがき苦しんでいる。それがいい意味で、痛々しく、共感をもって応援したくもなる。

登場人物たちはみなそれぞれが誠実。波風をたてる人物ももちろんいるものの、基本的に誠実、世の中誠実なひとばかりではないけれど。

作中おもしろおかしく語られる自分探しだが、{netabare}そう見えて、単に竹本の自分探しをシンボルにしているだけで、すべての主要登場人物たちが、自分の立ち位置をずっと探しているわけで、なおかつ、それに真っ向から対峙しようとする。誰も逃げたいとおもう局面や悩みをもちつつも、最後は向き合うのだ。{/netabare}　実に、美しい。すなおに、美しい。

■きわめて個人的に

自分が美大にいかなったことを後悔した。
めずらしく、原作も読んだ。
{netabare}コミックでも最後のクローバーにやられました。泣いた。{/netabare}

ただし、実写映画は友達にはぜったいに勧めたくないかな。(^0^;)