メルヘン◆エッヘン さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ひとこと。とても「力」のある物語です。
■簡潔に述べるなら、とても「力」のある物語です。
さまざまなたすきがけ、学園、父と娘、母と息子、現実感あふれる人間関係に、巻き込まれる恋模様にみる側はどんどんと引きこまれていきます。
たすきになった恋模様、そしてそれがさらにもつれていきます。どこでそのもつれがほぐれていくのでしょう。主人公ふたりだけでなく、かかわる友人、思いをよせられていた人たちの絡みがとてもどきどきさせてくれます。サブキャラクターが生きていますね。
休むことなく一括して見続けた理由は、竹宮ゆゆこ原作由来のストーリー展開の面白さなのでしょう。釘宮理恵演じる逢坂大河、高須竜児の間島淳司など声優のうまさなのでしょう。脚本の良さなのでしょう。演出の巧みさなのでしょう。
いってしまうと元も子もないように聞こえるかもしれないのだけれども、 不良風にみられるが実は優しいとかのキャラクター造形は教科書的でそれだけでは面白みはありません。
ツンデレも同様にギャップに萌えるわけで、ある種の日本的造形美なのかもしれません。テンプレートというには作品の力が上回っています。
■物語性の高さ
こういう物語性の高い作品は、全体を通じた答えが観るものそれぞれに訴えかけた結果で、評価されるものなので、まったくそのあたりは気にもなりません。
そうして、ふたりの気持ちにボクらはやきもきして、狂おしいばかりになってしまう。気持ちが近づいていくストーリーの流れは、いいよなぁ、といううらやましさに似た気持ちをボクの中で生み出しました。すでにその段階で展開は読めているのにそう感じてしまったわけです。
単純な<閉じた学園内の出来事>の積み重ねではなく、それぞれの人たちの背景に必ずいる、家族の存在とその微妙な関係性も丹念に描出したことで、より登場人物達をいきいきとした存在に感じさせてくれました。
こうした家族との疎遠または密接なつながりの描写は、最終展開にむけての彼らの決意を際立たせるのに必要で、よく練られた脚本だといえる気がします。
冒頭、たすきがけになった恋の初期設定が完了した段階で、面白くならない素材のはずではなかったと見終わった今では再認識しています。それが陳腐であろうとなかろうと、自身、素晴らしい時間を過ごすことができたのですから。観賞結果が全てです。
■気になっている点
ひとりのわがまま観賞者としては、悪意はないのだけれども、{netabare}結婚、駆け落ちっていう、前時代的な最終展開は(現代を描いているのだし)、それなりに思慮分別を感じる彼らだからこそ、それはないんじゃないの?! {/netabare}って正直言えば感じてしまいました。恋は盲目という一つの落とし所なのでしょうが、別の選択がなかったのか、と。
いまさらですが、自分の中でも誰にでもおすすめの良品のひとつとなりました。
随分前に予備知識なく一気観賞し、音楽については記憶にないため未評価。