るぅるぅ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
行動は浮気だが、真実は・・・
ストーリー構成の思惑とずれヒロインの心情を追っていた私にはやや物足りなかったです。
ただ、前半と同じく後半の女神に例えた伏線回収は見事です。
観る側は冬弥に感情移入・自己投影しようとするが優柔不断・流されやすい思考と魅力が伝わって来ない。そんな男に気を許す彼女達の心情が切なく憤りを感じることも確かだろう。
その点については悔やまれるが・・・彼の根本的な性格はきっと変わらない。
なぜなら、過去の忌わしい記憶を閉ざし女神と位置づけ贖罪として優しさに至る。それを純粋に受け止め心を許すヒロイン達。彼自身は記憶の告白として、「誰も愛しちゃいけなかったんだよ」 という言葉を否定する理奈「皆、藤井君を愛しているからよ」女神達への恩返しが間違っていると気づいた点は成長したが、理奈の言葉で恐らく少し自重するぐらいだろう。
彼自身はほぼ成長していない、ただ由樹の想い・愛を本当の意味で知り、由樹に救われ許された物語。 26話ぼやけた記憶を取り戻し、由樹&理奈ステージ傍でメダルを投げ捨てる素振り描写が全てだと言える。 だから、尚更、今迄の彼の行動に苛立つのはわかるが、WHITE ALBUM=白いアルバム、空白の記憶と解釈したらこの結末に収束するしかない。
ヒロイン達にとっての愛とはなんだろ? 傍に居て欲しい時に居た人、別に冬弥でなくても彰でも良かったかれしれないが、共通点は由樹の存在に駆り立てられたことだろう。
そして由樹の人柄がまた憎めないだけに煩わしいと想うが裏切れない感情表現は前半と同じく緻密な演出で感じられた。
マナの存在は除外、彼女はただ少し大人で自分を受け止めてくれる男に惹かれ、たまたま冬弥だったという印象。物事の絡む要素と描かれ純愛路線しかない為。
理奈、美咲、はるかは、自分の愛をただ受け止めて欲しかった。 元々、冬弥は誰も愛してはいなかった、全ては由樹の代わりでしかなかった。ただ、彼女達もバカではない理解していたが触れて欲しい時に手を差し出され心が揺れ動かないわけはない。それが浮気という形になった。顕著に表れていたのは美咲。
ただ、理奈についてはもっと感情描写を入れて欲しかった。
あれほど由樹を大切にしストレートに傷つけた末に諦めるのは、由樹の想いを感じてしまった潔い決断かもしれないが物足りない! ただOPアニメショーンは、理奈の想いとしか感じられない儚く歌詞は全てのヒロインを象徴しているだけに・・・。
そしてもう一つの浮気として弥生の存在を無くして、この作品は語れないだろう。割り切った大人の関係であり、自分の都合で求める愛情、そしても冬弥も同じように堕落してしまう。 仕事への誇りが愛も道具に過ぎない。
それだけに"めのう"がキーパソーンであり、女神達に最後まで導かれた結末は由樹EDとなったが、浮気と遠回りした末に気づく深い愛を魅せた由樹に賛辞を送りたい。
恋の方向性は無限に存在するが、その愛の深さを知ることは他者の介入によって解るのかもしれない。
浮気を肯定するわけではないが、それに気づけないから心が浮つくのではないだろうか。
それを象徴する由樹のひたすら待つ女は、それが本作の真意ではないかと私は感じる。
長々と駄文を最後まで読んで頂きありがとうございます。