メルヘン◆エッヘン さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
タイトル@がんばらない、は実にみごと。全貌をひとことで集約し、かつ、ミスリードを誘う。
結論:「@がんばらない」でみるべきだったのに、「@がんばってみようとした」。未鑑賞の方にはおせっかいですが、「@がんばらない」でどうぞ。(^_^) 以下、酷評しますが、大好きです。むろん、おせっかいなので、スタンスはご自由にです。
さて、小難しくはじめてみます。採用したモチーフ、いいです。作画についても文句ありません。表現しているかという点では疑問符。ぜんたいに絵づくりは完成されていて美しい。これはアートだ。という反面、それで押し切れるほど甘いものじゃないです。シャフトという制作会社なんですね。なるほど。OP映像も美しいです。楽曲は好みではありませんでしたが。
作品は、おおざっぱに、引きこもりである「ささみさん」の観る側へのプロフィール紹介がコンパクトでいい出だし(PCの筐体を閉めないわたしと同じ使い方じゃないかとか、妙な仲間意識もいだいたりして)ではじまりました。
そこで、期待をもってみはじめたのです。結論的にいえば、どこか裏切られた気分が残ってしまったのでした。
絡みはこの兄妹に、八神三姉妹ですね。わたしは不注意で気がつきにくかったのですが{netabare}〝神が這いよるささみさん〟 {/netabare}による「世界改変」の論理的な仕組み。これが全体を動かす作中因果です。日本は八百万の神という、驚異的な多神数を誇ります。{netabare}それによる改変のプロセスなどの表現はもうすこしわかりよかったほうがいいのではないかと。 {/netabare}原作との絡みなのか、シャフトの限界なのか、予算の問題なのか、時間の問題なのか、断言することはできないのだけれども、表現することの困難さもあらためて考えた作品です。ついで、おせっかいなまとめ。
■まとめのまとめ
突っ込みたかったところ:{netabare}以下に示すような境遇の少女ですよ。ともだちがほしい(ことはわかるにしても)などとうそぶくような状況にはないですよね。無自覚過ぎないか、と。少なくともその摂理は本人だってわかっているのですから。{/netabare}
1)日本神話をモチーフに鬱屈した閉鎖社会の中で〝神〟の立場を与えられた人間の少女がささみさんという主役ヒロイン。
後述する、兄との特殊な関係性も明らかになってきます。それはとてもえぐいものでした。
2)インセストタブーなどの要素ばりばりで、コメディのようでよーく考えると恐ろしい血脈を背後に抱えた、それこそ日本神話(世界神話のほぼ共通的事項)をトレースした物語構造。無理矢理{netabare} 子供を産む道具にされようとした際に、「せめてお兄ちゃんと」という趣旨をささみさんが発言するなど、どう考えてもコメディじゃない。{/netabare} ストーリーの必然のように感じたものの、よくやったな、と。
3)〝神〟と人間の契り(約束)と世界と個の解放を描く。(ここを書くとネタバレだし、ひとによってたぶん受け止め方がかなり違う部分だと思います。だから、がんばらずに省略)
結果としては、好評価なのです。それでも、なんとかならないものだろうかといいたい。設定、舞台は最高に好みだっただけに残念。これは脚本構成といったあたりが問題じゃないの?
初期で勝手に自分がハードルをあげてしまったという要因もありそうですが、自分の期待値とこの作品が本来もっている登場人物の構成があわなかった面もありそう。
エンディングはよかったですね。@がんばらない、ってこういうことなんだ、と。これは誤解ですけど。