緑川悠一郎 さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
イノリは何者?
イノリは何者なのか。集は人間だと言い張るが、描かれ方としてはもっと観念的な存在みたいだ。
イブの「いれもの」、という呼ばれ方をしていたけれど、誰がどうやってその「いれもの」を製造したのかよく分からない。
集はイノリは単なる「いれもの」ではなくて「人間」だと言い張る。
確かに、「エゴイスト」というバンドのボーカルをしていたという話があって、イノリはイノリの人生を歩んできたようにとれる一面もある。けれど、実際のところこのエゴイストの結成と解散の詳細については描かれない。それだけではなくて、イノリの人生については物語の中でほとんど触れられない。
つまり、集はイノリを人間だと言い張るけれども、他のキャラクターと比べて人間らしくは描かれてはいない。設定上は、もっと観念的な「祈り」としての役割を担っている、と考えた方がしっくりくる。
イノリを完全な観念としてとらえれば、人間の祈りは多くの人間の罪を背負う「いれもの」であって、それは讃美歌のような「歌」の形式をとることもあり、人が「集」まるところに「エゴイスティック」に生じるまさに「人間」的な行為であって、最後には全ての人間の罪を背負って消えてしまった、という風にかなりざっくりと説明はできる。
というかそういう解釈しか自分にはできない。
多分観念的な設定を現実的なストーリーに押し込んでいるようなところがあって、真剣に見つけ出そうとすればもっと色々発見はあるのだと思う。
普通のバトルアニメとして見ても楽しめます。