STONE さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
溢れる神としての愛情
原作は未読。
普通の人間社会に顕現した神様が現れるところなど、設定自体は異文化交流モノの体を
取っているが、ナギは土地神ゆえに元々人間社会をよく知っているのか、あるいは適応能力が
高いのか、とにかく文化の違いからくるドタバタなどはあまりない。
そのためかストーリー展開で見せるより、キャラの魅力で見せる作品といった印象。
脇役もそれなりに味のあるキャラが揃っていたが、主役であるナギが一際突き抜けている
感じで、好奇心旺盛で自由奔放なさまはやはり魅力的。
やりたい放題な印象のあるナギだが、他者と接している時などは相手への愛を感じる。
記憶を失ったとはいえ、根底には土地神としてその土地に住まう者への母性愛のようなものが
あるのかな。
設定と言えばもう一つ、「男一人が住んでいたところに、女の子と同居することになる」と
いうラヴコメ王道設定もあるが、こちらも通常のラヴコメのようにはいかず。少なくとも
ナギの方は神という存在のためか、御厨 仁に対して異性愛のようなものはないみたい。
ラヴコメ的展開は幼なじみの青葉 つぐみとざんげちゃんがもっぱら担当。つぐみは
ともかく、ざんげちゃんが何故仁に好意を寄せるのかは、原作未読のためかよく
判らなかったが、ざんげちゃんと、元の体の持ち主である涼城 白亜の一人会話?などから
察すると白亜の方が仁を好きみたい。
あまり異性的好意がなさそうだったナギと仁に、13話においてようやくそれっぽい感情が
出てきたが、そこで作品が終わってしまった。テレビ未放送の14話は完全な遊び回
だったし。ここから先は原作を読むか、2期を期待するしかないのかな。
前述のように、定番設定に対して、定番ストーリー展開にならないためか、ストーリーに
よる笑いより別に笑いどころがある感じで、個人的に目に付いたのは3つ。
まず秋葉 巡辺りを中心に出てくるアニメ、漫画、オタクなどのポップカルチャーを揶揄
するようなネタ。本作品自体が漫画原作のアニメ作品であるゆえ一種の自虐ネタであるとも
言えるが。
通常この手の作品は現実には有り得ないことが起きたり、現実より盛ったような展開に
なるが、この作品は現実にありそうなことをそのまま描き、あるあるネタとして笑いを取る
ようなところがある。10話の皆がカラオケに行くような話などはその典型といった印象で、
この回などはカラオケボックスでよく見られるような光景が随所にあった。
最後がいわゆるメタネタが多かったこと。それもスタッフやキャストをネタにした楽屋オチ
的なものが多かった。
おまけとしてはナギと仁の変な食生活も印象的。
ドラマとしては、生活感溢れる日常の描写などが結構細かくていい。加えてキャラの
行動で、言葉に出していない心情を表現する演出がうまいなと思わせるものがある。
この手の作品にしては珍しい、トーンを抑えた色使いも印象的だった。