メルヘン◆エッヘン さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
武器商人という、世界の現実を切り取った、リアリティあふれるフィクション
シビレタ。
意欲的な、かつ問題作といってもいい本作のわたしの評価は以上の通りだ。以下はすべてこの作品の前では蛇足。よって、人物も、流れも追わない。意図も理解しようとしない。それでいい気がしている。
素材最高。やや大人向けの理解力と一定の洞察力が形成された年齢でないと理解、共感しにくいかもしれない。欠点というほどではないが、商業的観点でいえば、そうした懸念もある。年齢層といよりも、時間帯ターゲットの視点で。
おすすめしたいタイプの人を考えてみる。たとえば、国際謀略小説などに興味があるとか、教養として世界の汚い部分も知っておきたい人たちもしれない。アクションなどにフォーカスしつつ、それを俯瞰して評価できる一定の理解力は必要だとは思う。ドンパチに期待してもいいだろう。一方、ドンパチではなく、武器取引に関わる物語だ。軸はそこにはないから、残念な気持ちになるかもしれない。
脱線{netabare}ついでにいえば、TV局にクレームをつけた連中はそういう理解力のない、想像力に乏しい大人たちである。そのクレーム内容は、少年が兵器をもって殺戮するのは、いかがなものか、であった。なるほど。そういう見方も否定はしない。ここは日本だ。だけれども同時に思う。現実に目をそむける人道主義者では世界を救うことなぞできない、と。
もっとも、そういうクレーマーのおかげで、この作品の存在を知った。ありがとう。放送倫理・番組向上機構では、問題なしとなった。そりゃそうだ。一定の教養というのは大事という話だとわたしは解釈した。
{/netabare}
脱線しすぎた。作品に戻る。
ラストへの流れは、もったいない感をもった。正直な気持ちだ。ただ、オチは作者、作り手が決めるものだからとやかく言わない。そして悪かったわけでもない。大人のフィナーレだったという意味で満足している。
さて、1期絶賛のわたしとしては、3ヶ月の空白は少し空きすぎたかなという印象も強い。1期を見直すことをせずに、2期を一気にみたのも間違いとは思ってはいないが、テンションが切れたかも。
全体を通じて高評価だ。一方2期単独では物語のつながりなどがわかりにくい。ストーリーが枝葉末節に落ち込んでいったような気がする。それが少し残念。だけれども、全体のテイストはじつによかった。一般受けはしないかもしれないが、ありだ。
だから、意欲作である。この味わいは、またいずれお願いしたい。ヨルムンガンドでということではなくて、アニメでまた、国際的なリアリティのあるフィクション希望です。