景禎 さんの感想・評価
4.0
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
いいわ、遊んであげる。永遠に終わらないこの6月を。好きなだけね。
同人サークルによるゲームが原作の作品です。原作のゲームはアドベンチャーゲームの一種ですが、選択肢による分岐のない一本道のストーリーです。
普通の人であれば1話目冒頭でドン引きです。いきなり血しぶき弾け飛ぶ惨殺シーンから入ります。その後に続くOPのブラックな雰囲気も相まって、この段階でまだ見続けられる人はかなり絞られてしまうでしょう。キャラデザがロリ萌え系であることは、怖さを中和させるどころか、かえって強調しているようです。
しかし、この作品の真の価値に接するためには、視聴者にとって、ここは通り抜けなければならない関門と思ってください。
あらかじめ言ってしまいますと、ここの作品に込められたメッセージをちゃんと理解するためには「ひぐらしのなく頃に」26話と「ひぐらしのなく頃に解」24話をすべて視聴する必要があります。最後まで見切らないと、視聴者は、本来の意味とは全く違った印象によってミスリードされてしまいます。この作品に対する誤解や偏見が多いのはそのためです。
「ひぐらしのなく頃に解」放送中の2007年、16歳少女が父親を斧で惨殺するという事件が起こりました。そして一部の報道により、その事件がこの作品の影響を受けている、という報道がなされました。そして放送局側の判断により「ひぐらしのなく頃に解」は放送中止に追い込まれたという事実があります。
↓鬼隠し編のネタバレです。
{netabare}1話冒頭の凄惨なシーンと、それに続くオドロオドロしいOPがウソのように、緑に囲またのどかな山村の中学生の、のんびりした日常が描かれます。しかし視聴者は冒頭のシーンを知っているのですから、ただノホホンと見てるワケにはいきませんよね。1話目はほとんど何もなく終わってしまうのですが、回が進むにつれ日常が狂気に塗り代わり、4話目に1話冒頭のシーンへとつながります。そして、なんと最後には主人公は自らの爪で喉を掻き毟って死んでしまうのです。{/netabare}
鬼隠し編は、解を含め、物語全体を通しての重要な伏線がいくつも隠されています。しかしそれらの伏線は、オヤシロサマの祟り、猟奇殺人という、まるで横溝正史のようなオドロオドロしい世界観に上塗りされ、視聴者はミスリードされます。もうひとつ、この後に続く四十数回(「ひぐらしのなく頃に解」を含む)にわたり登場し続けることになる重要人物は、ほぼこの鬼隠し編の4話で登場します。そういう意味で、この編は最も重要な編です。
↓綿流し編のネタバレです。
{netabare}物語はまたのんびりした日常に戻ります。鬼隠し編で殺されたはずの少女や、自殺したはずの主人公も、何事もなかったかのように、のんびり生活を行っているのです。え? どうなってんの? そうこうするうちに、古手神社の綿流しがまたあるそうですよ? え? これって鬼隠し編でもあったよね。どうなってんの? どうやら2つの話は同じ時間の出来事を描いているようですが、かなり違う話です。今回、オヤシロサマの祟りと称して横溝正史ばりの猟奇殺人を行うのは魅音。{/netabare}
↓祟殺し編のネタバレです。
{netabare}また、何事もなかったかのように時間が戻り、オヤシロサマの祟りの別バージョンとなります。今回は前2編と比較しても、さらにワケがわからない展開です。殺したはずの沙都子の叔父は生き返る。殺されたはずの鷹野さんの車に乗せてもらう。さらに、診療所の入江先生がなぞの自殺、大石刑事も行方不明・・・。最後には助けた沙都子につり橋から突き落とされ、あげくの果ては雛見沢村全体が毒ガスで全滅って?{/netabare}
↓暇潰し編のネタバレです。
{netabare}今回は前3編とは違って、警視庁の赤坂刑事の目線から語られるお話しです。登場人物は限られ、前3編でおなじみの圭一や魅音とかは登場しません。前3編の事件が発生する5年前と、発生後の後日談です。一連のお話しの背景が語られるわけですが、解明どころか、謎はさらに深まってしまいます。どうやら祟殺し編の事件は、雛見沢大災害という毒ガス災害であったらしいことだけはわかります。{/netabare}
↓目明し編のネタバレです。
{netabare}この編から、原作では「解答編」に属するお話しになります。圭一が雛見沢に来る1年前、悟史の失踪にはじまり、その1年後、綿流し編の連続殺人事件が起こります。つまり、この編は園崎詩音の目線で見た綿流し編の真相です。1年前の悟史の失踪と綿流し編の連続殺人事件が繋がりました。しかし、解決したのは綿流し編の事件の一部だけ。全体から見れば小さな解決でしかありません。{/netabare}
↓罪滅し編のネタバレです。
{netabare}解答編の2編目です。この編もご他聞にもれず、ほのぼのシーン、ロリ萌えシーンの大サービスシーンから始まります。この編は「鬼隠し編」の解答編であり、大まかに言えば圭一とレナの役割が入れ替わっています。この編は鬼隠し編と違って、冷静な圭一の視点で描かれるため、鬼隠し編のような混濁した印象はなく、結構クリアです。そんな中で圭一は、鬼隠し編のときの自分を思い出します。{/netabare}
同じようなお話しが繰り返されることにより、話数がすすむに従って物語の厚み、深みがどんどん増していきます。お話しの手法としては斬新でたいへん面白い{/netabare}・・・と思います。
出題編の4編+解答編の2編まで行ったところで、この物語の一応の結論は・・・
「疑心暗鬼に打克つために大切なこと、それは仲間に相談すること」
ただ、一連の雛見沢の事件の真相はまだまだ闇の中です。
梨花いわく「いいわ、遊んであげる。永遠に終わらないこの6月を、好きなだけね。」
ということで、ここまで来れば「解」を見ないワケにはいかないですよね。