cross さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
筋が通っているようで通っていない? 極度の捻くれ者の思考は不思議と癖になりました。【総合評価:72点】
全13話で2013年春に放送された『残念系ラブコメ』です。
この作品の主人公、比企谷 八幡(ひきがや はちまん)幼少時から友達が出来ず、友達を作ることを諦めて「ぼっち」を極めようとしていた捻くれ者の高校生です。
そんな彼を見かねた教師によって入れられた『奉仕部』と言う生徒の問題を解決する手助けをする 部活動。
同じ『奉仕部』のメンバーで、ヒロインに当たる雪ノ下 雪乃(ゆきのした ゆきの)と由比ヶ浜 結衣(ゆいがはま ゆい)と共に依頼をこなしつつ、精神面の成長を描いていく青春ラブコメです。
友達が少ない、部活動を中心に描く、となると『はがない』を連想する方も多いでしょう。
確かにこの作品も『はがない』同様の『残念系ラブコメ』ですが、味付けは全く異なっております。
『はがない』は良くも悪くもラノベ作品風潮全開のハーレムラブコメですが、この作品は最近のラノベ作品とは違う味わいだったと思います。
この作品の魅力は、主人公の比企谷 八幡(ひきがや はちまん)の捻くれた思想です。
放送開始前はそこまで期待していなかった作品ではありましたが、冒頭から主人公の捻くれ思想全開の語りで引き込まれ、毎週視聴するようになりました。
何気ない会話にも捻くれた思考で返してきて、会話も非常にコミカルで主人公の言動から目が離せませんでした。
そんなコミカルな面とは対照的になってくるのが作品のメインである『奉仕部』の活動の終結です。
主人公の機転により持ち寄られる問題が終結することが多いのですが、主人公の提案する手段は、問題と人間の本質を的確に捉えているが故に出てくるどうしようもない位に斜め下の発想で一般的な正攻法とは全く異なっています。
屁理屈程度のものから、人間性を疑われても仕方がないようなものまで、そのやり口が気に入らないと言う方も多いかも知れませんが、私としては非常に面白かった様に思えます。
作画に関しては、あまり高評価をするものではありません。
むしろ、個人的には第一話の時点では若干の違和感や抵抗があったぐらいです。
まぁ、続けて視聴する内に気にならなくなる程度ではありますので、可もなく不可もなくってところです。
音楽面も個人的にはまぁ特筆する事はないです。
キャラクターに関しては、主人公は先述の通り、独特の思想を一貫し、尚且つ、ラノベ作品の定番である鈍感なハーレム状態の主人公とは一味違う性格ながら、評価されない優しさを持っている非常に良いキャラクターだったと思います。
他のキャラクターはまぁありがちなキャラクターではありましたが、捻くれ者の主人公との掛け合いや対比で十分に魅せられていました。
まぁ、良くも悪くも主人公のキャラクターありきだったかなと個人的には思っています。
どんだけ主人公を推すんだと思われるかもしれませんが、主人公の長年にわたる『ぼっち』生活により生み出される思考は、筋が通っていない場面であってもスラスラと並べられる理屈っぽい物言いで不思議と説得力があって非常に面白かったです。
まぁ、私自身も少々捻くれ者の部類に入るので、結構、主人公の思想に共感できたりする面もあったのでより楽しめたのかなと思えます。
ですので、万人に主人公の捻くれた思想は受け入れられないかもしれませんし、そこがこの作品の評価を大きく分けるポイントであるように思えます。
映像面や音楽面の魅力が低い分、残念な感じではありますが未視聴の方は何話か視聴し、ご自身に合いそうか判断して頂ければと思います。