cross さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
独特の作画で演出される絶望に立ち向かう人類の闘い、戦闘シーンのスピード感と迫力は抜群で見応えあり。【総合評価:93点】
2013年春から夏にかけて全25話で放送された作品。
原作の評判はアニメ化前から耳にしていたのですが、どうにも絵が好みでなかった為にノータッチだった作品でした。
アニメ化を期に軽く確認程度で視聴してみた第一話で一気に作品に引き込まれてしまいました。
三重に築かれる50メートル程の巨大な壁の内側と言う限りある場で生きている人類、そんな閉鎖的な空間での生活を送る背景には、壁の外の世界には圧倒的な力を持つ巨人と言う存在があった。
その巨人によって人類は滅亡の危機に瀕し、壁の内側を生活圏とすることで長くの安寧を手に入れる。
この作品は長い時間の経過で人類が壁の内側での生活に違和感すら感じなくなっている中、突如現れた通常の巨人を凌駕する超大型巨人により壁が破壊された事によって人類が再び巨人の脅威に晒されます。
主人公は壁が破壊されたことで市街地に侵入してきた巨人に母親を食われ、故郷を追われる事となり巨人に対して激しい怒りを抱き、全ての巨人を駆逐すると強い意志を固める。
そして、主人公は対巨人戦闘術を学び兵士となり、圧倒的な存在である巨人との闘いに身を投じる。
大筋はこんな感じで、これだけだと単純なバトル物の様に感じる方も居るかもしれませんが、ダーク・ファンタジー的な要素が強く、原作が少年漫画にも関わらず主人公側の人間達が巨人に捕食される等の残酷な描写が多いです。
なので、そう言った残酷な表現が苦手と言う方には不向きな作品であることは否定できず、万人受けの作品とは言えません。
バトル物の爽快感と言うよりも常に巨人に圧倒される人類の絶望や非力さが前面に押し出されています。
そんな中で圧倒的な存在に対し、命を顧みずに奮起する兵士である主人公達には熱いものを感じざるを得ません。
人類が巨人に対抗するために開発した『立体機動装置』
細かい設定は書きませんが、単純に腰の左右からワイヤーをガスで噴出させ、木やら壁やらに刺してそのワイヤーを巻き取る際に自身も移動する感じの装置です。
この装置で立体的に動き回って、巨人の唯一の弱点であるうなじの部分を斬撃にて切り落とすと言うのが巨人殲滅の唯一の手段です。
この『立体機動装置』を駆使した巨人との戦闘はカメラワークもかなり立体的でスピード感もあって迫力満点でした。
ただの白兵戦がメインなんですが、下手に能力やらで戦うバトル物なんかよりも迫力があり、戦闘シーンは息を呑みます。
原作を読まなかった要因である絵に関しては、正直、第一話の視聴の段階で完全に気にならなくなりました。
寧ろ、あの絵のタッチは人類にとって絶望の象徴である巨人の不気味さをより際立たせ、巨人の恐怖に絶望する人類を描く上でも効果絶大で完全に作品の雰囲気を盛り立てていました。
登場人物は主人公が兵士で、その同期や先輩などが多数登場します。
最初の内はその多さに圧倒されてしまいますが、回を追うごとに各キャラクターにスポットが当たるようになり、それぞれの心理描写もしっかりと描かれるのでキャラクターの魅力も十分。
ですので、登場人物の多さも最初は気になるかもしれませんが、次第にどのキャラクターにも魅力を感じられるはず。
こう言った周囲のキャラクターにもしっかりと魅力がある作品は強いですね。
そして、この作品の音楽の面でも非常に素晴らしい。
2クールの作品でOPとEDは前半と後半で違う曲になりますが、どれもこの独特の世界観を上手く表現した上でどの曲も非常に良い曲です。
非常に良いOP、ED、更にBGMに関しても物語の場面場面を非常に盛り上げてくれていました。
独特の絵のタッチでただでさえ圧倒的な雰囲気を持つ中でBGMも非常に素晴らしく、息を呑み画面に釘付けになるばかりでした。
原作はまだ連載中とあり、アニメの方も当然途中で終了します。
アニメとしては、作品としての魅力を十分に発揮できていますが、巨人の謎は深まる一方で物語の核心にはまだまだ迫っておりません。
独特のダークファンタジーな世界観、その雰囲気を見事に描く絵とBGMでの盛り上げ、非常に素晴らしい作品であったと感じます。
寧ろ、ここからの展開こそ作品としての真の面白さに迫っていくものですので、是非とも第二期に期待したい所です。
まだ未視聴の方、残酷な描写にさえ耐性があると言うのならば是非とも視聴してみてください!!