タマランチ会長 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
昔の作品へのリスペクトを忘れない!アニメらしいアニメの完成形!
商店街に生きる一人の女の子を軸にすえ、最後までそれがぶれませんでした。1話、2話は正直退屈でした。鳥の存在感のなさには「こりゃハズレか?」と思いながらも切りませんでした。構図や演出はよかったし、やはり80年代のテイストがここちよかったからです。商店街で、友達やご近所に温かく囲まれながら生活しているということを、10話までエピソードを積み上げ、11話でたまこが商店街を出ていくのかという命題を突き付けます。ここから「別れ」のペーソスが出てきて、たまこは周りの人たちからいかに愛され、たまこ自身がいかに愛してたかが鮮明に、それでいてさりげなく際立たされます。最終話は、静かな感動につつまれ、実に気持ちがよかったです。
最終話で、鳥もいよいよ帰るかという展開になると、あれだけウザったかった鳥も、出ていくとなるとさみしくなるもんだな~なんて思っちゃいましたね。いや、とにかくやられました。
「生まれ故郷の風土や環境への愛着」は、誰しも持っているはずです。それは見事に描けていました。(ナウシカもそうですね。)「郷土愛」が作品を貫く「テーマ」になっていたと思います。
OPから懐かしさにあふれた演出。サブタイトルの読み上げ、アイキャッチ、変な鳥、すべてが80年代のアニメのテイストがたっぷりでした。
80年代のアニメは、人材不足、技術不足で、どうしても作画なりストーリーなりがいい加減になってしまい、結局は子供だましの作品となりがちでした。しかし、たまこはちがいました。これまでのノウハウを生かし、見事に描き切りました。80年代、このくらいのストーリーで描き切ることができていたなら、「神アニメ」とうたわれたことだと思います。昔のアニメへのリスペクトを忘れず、その良さを生かしながらこのジャンルの完成形を見せてくれたように思います。そう、僕らアニメファンは、こういうアニメが見たかったのです。
たまこの故郷に対する愛着は、自分の昔見たアニメに対する愛着と似たところがあります。昔のアニメは今見ると出来がよいとはお世辞にも言えません。でも、リアルタイムでその時代のアニメを楽しんだ私らにとっては、まさに心の「故郷」です。大人になってから、自分の好きだったアニメを見せてもらえた気がします。
スタッフの皆さんにはホント感謝です。