ローズ さんの感想・評価
3.9
物語 : 5.0
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
じっくりコトコト煮込んでいる琴浦さん
他人の心が読めてしまう超能力を持っている琴浦春香(ことうら はるか)。
その力のために幼少の頃から他人から敬遠されていて、自分の殻に閉じこもるようになる。
翠ヶ丘高校に転校してきた琴浦に思いを寄せる真鍋義久(まなべ よしひさ)、
千里眼の超能力を持つ母がいて超能力の存在を証明するために作ったサークル・ESP研究会の部長である御舟百合子(みふね ゆりこ)、
副部長の室戸大智(むろと だいち)、
実家が道場の森谷ヒヨリ(もりたに ひより)達が琴浦の友人となる、涙腺刺激が強烈なラブコメ作品。
主な話の内容は、琴浦が周囲の人間から理解される・ESP研のほのぼのとした活動・女子高生殴打通り魔事件の3つに分ける事ができます。
その中でも琴浦の幼少の頃から友人ができるまでのエピソードの涙腺刺激は強力です。
自分自身では他人の心を読める力を制御できないため、周りからは距離をとられて孤立しています。
上っ面の言葉ではなく本音が分かってしまうために、他人との関わりを拒絶していました。
幼い頃から、友人だけでなく親からも気持ち悪がられてしまう生活を過ごしてきたなんて、想像を絶する心境でしょう。
バカ正直な真鍋やESP研の人達と過ごしていくうちに、琴浦の心が氷解していき自分自身を肯定できる新しい生活が始まる事となります。
自分は琴浦に感情移入して視聴していましたが、1話目を視聴した段階で涙腺がユルユルです。
歳を取ると涙脆くなってしまい困ります。
汚い涙を他人に見せる事はできないので、自室に籠って視聴していました。
ED曲の冒頭、琴浦の幼少時代の孤独な場面を表現しているアニメと曲・歌詞の相乗効果によって、涙腺が緩むのは条件反射となってしまいました^^;
真鍋のエロい心を読んでいる場面では、ドリフターズの加藤茶さんの『ちょっとだけよ。あんたも好きね。』というギャグの時に流れる音楽を意識しているように思います。
ドリフ世代でないと分からない小ネタですね。
明治時代、超能力の存在を証明しようとした「千里眼事件」があります。
大学の教授などを巻き込んで超能力の証明をしようとしていましたが、千里眼(透視能力)を持っていたとされる張本人は自らの命を絶ってしまいます。
千里眼の力を持っていたと実験材料にされていた人物の名前が御舟千鶴子(みふね ちずこ)。
ESP研の部長の御舟という名前の設定は、この事件が元ネタでしょう。
他人の心が読めるなどの超能力は欲する人が多いと思いますが、
本当に力を持っている人の心情や苦労などをこの作品から読み取ってみると、
特別な力を持つよりも普通がいいなぁと感じました。
1クールの冒頭のエピソードを伸ばして作品を完結させることもできたと思いますが、それでは単純な御涙頂戴作品で終わっていたでしょう。
その後のほのぼのエピソードなどがあることによって、話の展開にメリハリができたように思います。
言葉(琴)の裏側(浦)の本音・心情が分かってしまう琴浦さん。
「面白い」や「泣ける」という簡単な単語で表現するにはもったいない作品です。
元気が出ない時には・・・{netabare}御唱和下さい。せーの!{netabare}┌(^o^)┘モリ!┌(^o^)┘モリ!{/netabare}
【補足】
他人の心が読み取れるテレパス能力の作品で真っ先に思い浮かんだのは、筒井康隆さんの著作・七瀬三部作(『家族八景』・『七瀬ふたたび』・『エディプスの恋人』)でした。
『七瀬ふたたび』は何回か実写映像化されているので、『琴浦さん』の作者も参考にした可能性があるかもしれないですね。