るぅるぅ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
答えがないから良いのかもしれない
あらすじの印象として、天使になろうとする灰色の羽を持った少女が成長する物語と安易なイメージで視聴しましたが、全く違いますねw
序盤は、主人公ラッカが生まれ落ちたグリの街と灰羽と呼ばれる者の存在についての説明。
ファンタジー要素の強い世界観を細かく見せる描写で、ほのぼのとした日常が楽園のようで、落ち着いた雰囲気に癒され寝てしまうほどでしたね。
中盤から物語の核心に迫る展開で目が覚めましたw
何も考えず、観て感じた印象がこの作品の持ち味です。
考察が好きな人は、観て欲しい作品ですね。
アクションは一切ないです。
【視聴された方向け感想】{netabare}レキの転生?といえば良いのかな、その時にこの世界観は死後の世界と私は感じました。
そして同じ世界観のAngel Beats!が頭に思い浮かびましたね。
よって、転生という解釈を用いました。最終話で「また会えるよね」という台詞からも伺える為です。
原作 安倍吉俊は、村上春樹「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」に影響受けたとのこと、またAngel Beats!の麻枝准も影響をうけており同じ世界観になっていたんだな と納得できました。
二人の解釈の違いを感じれて良い作品です。
あくまで私の感じたことで、軽く流して頂けると幸いです。
クウの転生によって、物語は動き始めラッカの羽は少し黒く染まりましたが、これが最初の疑問でしたね。
灰羽の存在意義・不安から精神的に病み黒くなりましたが、レキは自殺した為に罪憑きとして生まれながら黒い羽を持っていたと考えます。
途中から黒くなった羽の意味はその考えが罪憑きとして同じ思考を有し再び自殺する為から不とし黒くなった と解釈しましたが、不の感情を抱くこと自体が罪というのは救われないね。
確かに赤ん坊は純真無垢な姿で生まれる為、善悪をもたないのだから当然なのかもしれない。
「罪を知る者に罪はない。では汝は罪人なりや」という話師の言葉は深いですね・・・贖罪の在りどころを探しなさい という教えは難しいですね。
幸いラッカはカラスによって導かれましたが、このカラスはレキの想いが形になったのか? それとも誰かに守られていた と作中であったことから生前の人の想いだったのか?
鳥は「灰羽が繭に入る時に忘れたものを運ぶ」とあったので、誰かはラッカの死を嘆いた人の想いであって、夢を思い出させたのはカラスになったレキとすると、ラッカとレキは生前つながりがあったのか?
と想像ばかりで答えが見つからないですね。
それが本作の醍醐味なのかもしれないです。
最終的にレキの罪とは、誰も信じられないことであり、彼女は救いが欲しくグリの皆を助ける行為は真名を知った後では十分と想いましたが根本の解決として不十分だった為、いつまでも黒い羽と納得できました。
ラッカに救いを求めることで赦され、真名が礫「人々の礎になる踏み台の石、石くれの礫となるだろう」という話師の手紙通りに収束する演出はとても良かった。
ただ、話師の手紙通りに事が運んだ点ですが、まるで全てわかっていたみたいで不気味でしたね。
もしかしたらは話師は語り部であって話師の教えに耳を傾ける者が赦されたのかな と思えます(レキは話師を信用していなかった為、冬までに別れの日も近いと時期もわかっていた発言により)。
結果、他者の繋がりによって信じることができラッカに導かれた、話師に導かれたとも解釈できますね。
恐らくあのまま赦されなければトーガになっていたと考えられますね。トーガ=咎人として考えると、光輪・羽も無い人間でもない存在からの可能性です。
と、色々と考察できて序盤のほのぼのから死について探求でき面白かったです。
楽園のようなグリの街の実態は、己の罪を赦す場でもあり魂の死の場となる転生への試練の街では? と思えます。
だから、白でもない黒でもない灰色の羽かと観終わった後に感じられましたね。
人の罪とは一人で贖罪することはできず、他者の介入によって赦される最後の締めは良い余韻になりました。
長々と駄文を最後まで読んで頂きありがとうございます。{/netabare}