やっぱり!!のり塩 さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
日本の政治・社会情勢の構図がわかる辞書作品 (*・Д・)ナルヘソ!!
■評価
ストーリー : ★★★★★ 5.0
演出・構成 : ★★★★☆ 4.5
作画・映像 : ★★★★ 4.0
声優 : ★★★★★ 4.5
音楽 : ★★★★★ 5.0
キャラ : ★★★★★ 5.0
■感想
自分をアニメに目覚めさせてくれたきっかけとなった作品☆
ネットワークや電脳・擬体などの高度技術が一般的なもの
として受け入れられている至近未来の日本を舞台として
国内外の企業犯罪テロ、政治犯罪を事前に予見し攻性的な
捜査を行う公安9課の活躍を描きます。
この笑い男事件は医療業界の不正や警察の汚職を
題材にした奥深いSF社会派サスペンスとなっています。
この作品のもっとも素晴らしいのは、政治・社会問題を
題材としているためシリアスでリアリティがあり、しかも
深くえぐっているため、そのストーリー性は見ている者に
強い衝撃を与えてくれます。
極めて硬派な作品に仕上がっているのですが、ネット・
電脳・擬体・サイボーグそしてタチコマなどのSF・癒し
要素も含んでいるので物語に多様性があり飽きる事が
ありません!!
そして何よりも、この作品を彩るに相応しい楽曲を
作られた菅野よう子さんのサントラでしょう!!
菅野さんの音楽のおかげで作品自体に電子的で幻想的な
雰囲気が加わっています。ファンタジーというよりは
まさしくネットの海にダイブしていく様なSF感覚を味わえ
ます。
また海外からも高い評価を受けるのも理解できます。
海外の人と話す機会(日本語で)が時々あるのですが
攻殻機動隊とカウボーイビバップは大人むけアニメという
事で結構名のしれた作品になっている様です。
とにかく生きている内にみなきゃ人生損します!!
最後に伏線の引き方やあらゆる仕掛けが関係話で
展開されますが、その伏線が何重にもなっているので
一度見せられただけでは分からず、私は何度かリピート
したり総集編版を見たりして理解を深めていきました。
念のため私の方で気になった謎や作品に隠された
社会背景をネットにダイブしたりしてまとめてみましたので
気になる方は以下見てください。ネタバレあるのでご注意くださいまし。
■攻殻機動隊S.A.Cの謎とポイント
{netabare}
Q1:結局、笑い男がしたかった事は?その動機は?
日本社会のインチキを公表し、正したかったという
純粋な正義感からです。
動機は作中でも語られていますが、電脳硬化症に対する
村井ワクチン療法の有用性とマイクロマシン療法の
無効性を告発するEmailを笑い男が見てしまった事が
すべての事件の始まりです。
Q2:警視総監暗殺未遂事件が発生した時、なぜ複数の
一般人が自身を笑い男と思い込み、警視総監暗殺を
実行しようとしたのか?
こちらは私も実はよく分かりません…。勝手な解釈で
いうと、まともな人間であれば誰しも社会悪に対する
正義感をもっていると思います。
その小さな正義感が笑い男という正義の象徴に看過され
自発的に暗殺行動にでたのではないかと予想しています。
これは一般市民にも小さくとも正義の目が宿っており
自発的に社会悪に対するアンチ行動を行う事ができると
作者は伝えたかったのではないでしょうか??
(アラブの春現象と似ているかな??)
Q3:インターセプターを仕込んだのは何のため?
主犯である薬島と脅迫を行っていた警察上層部が
笑い男の事件真相を知るセラノ氏を監視および
口封じするために護衛にあたっていた警察特捜部
メンバーにインターセプターを仕掛けたと考えています。
その事に気づいたのがトグサの同期である特捜部の
山口刑事であり、事件のすべての始まりになりました。
Q4:ナナオAやセラノ氏を暗殺した深見刑事とは何者か?
未だに誰の元で暗殺を行っているのかは
ツッパリわかりま千円・・・。
『曲がらねば世は渡れず、正しき者に安らかな眠りを』
という最後のセリフやトグサにインターセプターの情報
をリークしたりしている事から薬島や企業脅迫メンバー
だけではなく他の不正グループにも関わっているのでは?
と予測しています。
力のある者のしたで上手く渡り歩いて私利私欲を満たして
いる人物ではないかと考えています。
こう考えるとインターセプターを仕込まれていたのでは
深見も他の不正グループと関係が企業脅迫メンバーに
バレルのが嫌なので情報をトグサにリークしたと
考えれば納得がいきます。
警察内部の闇の深さをあらあわしている様に感じます。
Q5:9課は壊滅したのに何故全員生き残ったのか?
すべて荒巻の策略によるものです。
笑い男事件の真相があまりにも根深いため9課で薬島逮捕
が不可能と感じた荒巻は内閣に取引を持ち込むため、
マスコミに暗殺や非合法捜査を行う公安9課の存在を
スクープさせ内閣に世間の批判が向く様にします。
(内閣総理大臣へ脅しを掛けます)
そして9課をテロ首謀者として悪者に仕立て上げ薬島に
潰されるフリをする事で敵を煙に巻き、敢えて内閣への
責任追及を回避させ、そして薬島逮捕に必要な
捜査情報と捜査権(手柄)を検察に譲る事を条件にして
薬島逮捕を実施する事を総理大臣と裏取引(密談??
脅迫??)しました。
そのため検察による捜査が開始された時点で、表向き
9課の人間はすべて死亡している事になっているので
全員一時逮捕されてもすぐ釈放される仕組みだった様
です。
狸親父の政治力や駆け引きの上手さはウィザード級
ハッカーの電脳並みのスペックですね・・・。
Q6:このストーリーの背景と本質は?
この物語の元ネタは実際に起きた以下2つの事件を
モデルにしている様です。
今の日本社会だけでもこれだけでの様々な闇(嘘・
インチキ)が実在しており、この作品はその闇の存在を
糾弾している様にも感じます。
■グリコ・森永事件■
未だ未解決の企業脅迫事件で、グリコ社長を身代金目的
で誘拐、その後も青酸カリ入りの食品を全国にばらまき
食品関係会社を脅迫した事件になります。
詳細は判明していないですが被差別部落・在日・893・
総会屋・警察官などが犯行に関係していると言われ
犯人の目星がついているにも関わらず警察が公に
したがらない事件と噂されています。
本当かは分かりませんが、目的は身代金などではなく
食品関係会社の株価操作の金目当てとされています。
(急落した株価を買占め、株価が元にもどったら売り捌く
やり口かな?)
興味ある方はWiki、関係本やレディージョーカーという
小説を読むと事件の大枠は理解できると思います。
■薬害エイズ事件■
1980年台に輸血用として非加熱製剤(輸血)が一般市民に
使用された事でHIVウィルスに感染し、多数の死者や
エイズ患者および差別被害者をだした重大事件です。
この事件に関係していたのはミドリ十字社(今はない)で
あり当時目先の利益を上げるために、非加熱製剤の
危険性を十分に検討をせず血友病患者などに使用して
いました。
また十分なHIVウィルスの危険性を認識していながらも 情報開示や対応責任を怠り事態は死者や感染者を増加
させるという最悪の一途を辿りました。
なお、当時ミドリ十字社は厚生省の天下り先としても
有名であり、厚生省も事態の重要性を認識していながらも
ミドリ十字社を擁護するために具体的な対策をあえて
行わなかった(隠蔽?)したと言われています。
この事件は民事や刑事裁判にまで発展し、最終的には
原告(被害者)側に有利な形で和解することになり
ミドリ十字社は解体されました。
しかし、その構成員の殆どは厚生省の斡旋で武田薬品や
田辺製薬の関連会社に天下ったと噂されています。
本当の意味で社会的制裁を受けたかは未だ疑問の残る
事件といえます。
厚生省はラリアットるんじゃヽ(`д´;)/
{/netabare}