りゃむ さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
理解力を試されてる?
原作未読です。
福山、小清水ペアに狼と香辛料スタッフ陣営が描くファンタジー作品。
現実の史実の経済や技術の発展、平和な世界を作るという目標などを軸にして、そこに魔族と人間という別種族のファンタジー要素を入れた西洋舞台の作品ですね。
物語の導入としても、テーマや目指したものとしてもすごく面白いし、注意深く登場人物たちの一挙一動、一言一句を理解しながら視聴すればすごく面白い作品です。
問題は“注意深く”というところです。
つまり、ワンシーンでも理解できないようなシーンや流してしまったシーンがあった場合その時点でストーリーに置いていかれてしまうということです。
これはアニメを見るに当たって“気軽に気楽に見れない”という大きな問題です。
ある程度の理解力を視聴者に求めるのは良いでしょうが、ここまで持久的に理解力を求め続けられては正直疲れるし、飽きてしまいます。
その要因として、原作を読んでなくても分かるような尺不足。
カットされたシーンがあったか否かについてはわかりませんが、それでも原作ならあれ?と思ったらもう一度読み返すことが出来ます。
しかしアニメの場合、どこのシーンを参照すればよいのかというのがマンガや小説と違って分かりづらいですよね・・・
そしてもう一つ、固有名詞なし演出。
大きな舞台設定で描かれる作品であるだけに、それなりの数の登場人物が登場します。
それらが固有名詞ではなく肩書きなどを一般的呼称として使われてしまうと登場人物を覚える指標が一つ欠落してしまうことになります。
そしていいシーンで“ゆうしゃーーー”とか“まおおおお”とか叫ばれても・・・若干の違和感がありました。
固有名詞って大事なんだと改めて思います。
“理解できたらすごく面白い作品”なのにもかかわらず、これらの要因の所為で魅力が存分に伝わらなくなってしまっています。
そもそもこの壮大な世界観、舞台設定に濃厚なシナリオをもつこの作品をワンクールでやろうとしたのか・・・
かつ途中に総集編が入りましたが、それを入れるような尺的余裕はなかったはずです。
この手の作品は少しぐらい間延びしても良いから丁寧に描いて欲しかったですね。
これでは原作既読の視聴者と未読の視聴者とで作品に対して印象に差が生まれてしまいます。
未読の視聴者が“原作を読んでみよう”と思わせる販促効果はあったのかもしれませんが・・・