景禎 さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ただの人間に興味はありません
谷川流さんのライトノベル原作の作品です。私にしては珍しく原作既読です。SFタイムトラベルものなので、私の趣味にぴったりの作品。
世界を創るほどの能力を持った涼宮ハルヒが、SOS団なる奇妙な部活を立ち上げ、未来人、宇宙人、超能力者を集めて部員にする。しかし、当のハルヒにはその認識がない。SOS団に集まった未来人、宇宙人、超能力者は、それぞれ異なった立場で異なった世界観を持ち、それぞれ異なった目的をもってハルヒに関心をもち、見守る。そんな設定です。
SFの三大巨塔である未来人、宇宙人、超能力者が一同にあつまる、というお話なら「さぞや非日常的作品なのだろう」と思いきや、ごく一般的な公立高校一年生のべたべたの日常に、有り得ないほど濃いSF的非日常が、仲良く混ざり合っている、緊張と弛緩のベストミックス的な独特の雰囲気をもった作品です。
この作品の雰囲気を決めているもうひとつの要素は、主人公のキョン(声:杉田智和さん)の目線から見た「語り」がベースとなっている点。原作のラノベの地の文を、ほぼそのまま杉田さんが語ります。この語りがとっても味があってGoodです。少なくとも私は好きです。京都アニメーションは原作に忠実という定評があります(最近はちょっと違う場合もあるようですが)が、原作の地の文まで忠実に再現してくるとは・・・。
このシリーズは他のアニメと比べて構成がちょっと変わっています。原作から「涼宮ハルヒの憂鬱」と、短編をいくつかチョイスし、6話で構成される「憂鬱」の各話の間に他のエピソードを挟んで行き、最終回で「憂鬱」のラストが来る構成になっています。
初回の「朝比奈ミクルの冒険」は、2期で放映される「涼宮ハルヒの溜息」でキョンやハルヒが製作した作品、ということになっています。OPやED、アイキャッチまで、すべて「朝比奈ミクルの冒険」なので、原作を知らない初見の人は「あれ?見るアニメ間違えてる?」と勘違いしそうです。この回は、高校生が学園祭向けに製作した映画という設定なので、随所に素人クサさ、下手くそさを漂わせています。わざとそういう風につくるのって、逆に難しそうですね。画質も、ホームビデオで撮影したという設定なので、かなり悪いです。そこまでこだわる?
メインタイトルになっている「涼宮ハルヒの憂鬱」が、シリーズの骨格です。最終回は「憂鬱」の最後の部分、締めの部分です。ここはちょっと感動です。ぜひ見てください。
1期では時系列をシャッフルした順序で並べられていますので、分かりにくいですが、それなりの味わいがある構成になっています。ただ、それはちょっと、という方は1期を飛ばして2期を見ることをお勧めします。2期は、1期のお話の間を埋めるエピソードを追加した上で、全体を時系列に並べなおしています。なので、初めて見る場合は2期だけ見れば1期も見たことになります。
現在2期(2009年)が終わって数年経ちます。個人的には3期以降を期待しているのですが、京アニにはやる気がないようで残念です。「驚愕」とか、アニメ化すると絵的におもしろいと思うのですが・・・。