たんたんたぬき さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
邪道の魅力
前置きはこの先は書きません。ただ今期から初めてなので書いておきます。今期1シーズン作品ではこの作品がNO1だと思います。何より期待してなかった、そこが大事だと思います。人間期待すると過剰になりがちで失望が大きいです。しかしこの作品全く期待してなかったので、思い切り意表をつかれました。(ラブライブ見ていません)
日常の楽しげなシーンはそこそこ止まりの作品だと思います。それほど特徴的でない作品を特徴的にしたのは、これでもかこれでもかとヒロインや周りを追い込む欝回です。これが気の毒になり涙を誘います、これにやられました。しかもそれだけじゃ良い評価にしていません。その後皆が救われる癒しによる締めが実に良い。
この作品私はそんなに個性的な作品だと思いません。それよりもアリキタリそうな設定を使ってアリキタリなお涙頂戴ものなのに、確実にやられたと涙腺を刺激される事です。実はベタこそが一番強力です。そして逆にベタが一番危険です。何故?と不思議になるのですが、結果すべてはまってしまう。見事な芸当。しかも緻密で繊細なとかじゃないです。荒削り悪く言えば雑で大袈裟な展開。でも気がつくと泣きそうになってる自分が居るのです。琴浦マジックと言いたくなるものがあります。
後忘れてならないのは、OPとED。この作品凝ってます。まず明るいOPで視聴意欲を高めて、始まってみたらなんだこりゃって暗い展開…。でも癒しの時間が来た後に流れる希望の花を聞くとホロリと来てしまいます。かと思えば明るい日常のやり取りの回ではおふざけEDで希望の花とのギャップが面白いです。しかもです、このせいで、希望の花の希少価値を生んでいます。OPとEDの使い方が上手すぎます。
ESP研のメンバー皆好感が持てます。特に琴浦さんの魅力は真鍋君と言う性格イケメンキャラのおかげだと思える部分が大きいです。最初は意地悪キャラだった森谷さんも仲良くなりますし、そして部長と副部長のコンビも良い味出しています。特に部長の超能力によって苦しめられた過去と言うのが、琴浦さんとリンクしていて上手くドラマを盛り上げています。
特に良かったのはやっぱり1~4話だと思います。1シーズンアニメはやっぱりロケットスタートが重要だと思います。この掴みでガツンとやられました。
冷静に見ると今期は飛びぬけた作品が無かったと思います。でも大事な事は冷静に考えさせない作品だった。そこを一番重視しています。こんな事を言うとなんていい加減な評価をする人だと思われると思います。でも冷静にさせてくれない作品こそ嵌ってるって感情を喚起してるんじゃないか?って私は思うんですよ。
ちょっと後半にケチをつけると、突然の事件展開。面白かったです。ただちょっと話のネタに詰ってないか?と思いました。基本日常の友達とのやり取りとヒューマンドラマが軸だと思います。部長のドラマをやるためだと言うのは分かります。ただちょっと異色の展開に唐突感あります。今期は本当に迷いました。該当作品無しでも良かったのですけど、今期からなので無理矢理でも選ぼうと考えてです。次回からここまで悩むなら該当作品無しにします。
しかし、最終回は良かったです。この作品の魅力って、やっぱり真鍋君の好感度が大きいですね。前回からの部長の流れにけじめをつけて、母親との邂逅の後、琴浦さんの告白そして真鍋君からの返答。1シーズンの中で人の変化を描くと言うのは強引さが伴います。しかし本当にじれったいぐらい1シーズンをまるまる使ってゆっくりと琴浦さんは変化していきました。
最後に多くの作品と比較した時に人の心に与える影響と言う事でこの作品の価値を語ろうと思います。この作品の特徴はスタートダッシュのシリアスです。でも最終回はなかなかですけど、尻すぼみ気味です。多くの日常的な作品ははじめはほのぼのした描写の後キャラに感情移入させて尻上りにシリアスに持ち込んた方が普通は面白いと思います。中2やKEY作品など京アニアニメはその王道を使っています。しかし、この作品は日常回に強い魅力が無いです。それゆえこの作品は例外的にこれで良いと思います。この作品後からシリアスが入ってきて良い作品になったとしても数ある凡庸な作品の一つにしかなれないと思います。それよりも最初に人を選んでしまうかも知れないけど、欝気味シリアスぶちかまして印象付けた方が王道に対しての邪道の良さだと感じます。