cross さんの感想・評価
2.7
物語 : 1.5
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
シナリオに全く魅力を感じられない。京アニと言うブランドに頼り過ぎた慢心が生み落とした『失敗作』【総合評価:52点】
2013年冬に全12話で放送された作品。
活気のあふれる『うさぎ山商店街』に店を構える「たまや」と言う名の餅屋の娘、高校一年生の北白川たまこ
母は亡くなっているが暖かな家庭で育ち、商店街の人たちからも愛されて幸せな日々を送る彼女の前に現れたのは南国のある国から王子の妃を探す、日本語ペラペラの鳥、デラ・モチマッヅィ。
たまことデラを中心に商店街のイベントや学校行事と言った日常をほのぼのと描いた作品です。
今や数々の良質な作品を送り出していて、アニメ制作会社として圧倒的な知名度を誇る『京都アニメーション』
その京アニのオリジナル作品で監督は数ある京アニの人気作品の中でも飛びぬけて有名な『けいおん』の山田尚子監督
それらの情報から視聴前から期待度はかなり高かったのですが……
一言で言えば、京アニと言う所謂ブランドに頼りすぎた慢心が産み落とした完全なる『失敗作』に終わってしまったなと言うのが個人的な感想です。
確かに視聴前にハードルを上げすぎたと言うのはありますが、どうにもそれだけでは収まらない残念感でした。
今までの京アニの代表作と言えば、ほとんどが『原作』のある作品
故に『オリジナル』で挑戦となれば、こう言った結末になってしまうのも仕方ないのですが、やはり自分も京アニと言うブランド名に対して期待を持ちすぎていたのでしょう。
この作品のシナリオはあまりにも魅力に欠けていました。
ほのぼの日常、言ってしまえば『けいおん』もその部類に入るのでしょうが、けいおんには『音楽』や『部活』と言った日常系ながらもそれを彩る花があった訳です。
対してこの作品は、本当に商店街に住まう少女の日常、まったくギスギス感も無いし良好すぎる人間関係、折角『けいおん』には無かった同年代の男性キャラが好意を寄せているのに鈍感さ故にで微塵も恋愛沙汰の様相を見せない。
この作品には日常に加味するポイントが無いと言っても過言ではないですね。
第一話の時点から提示されていた、唯一のポイントに成り得た、デラや南国の面々も基本的に物語に深く関わってこず、無駄設定に近いと言わざるを得ません。
そんな中でも評価するべきは作画
キャラクターのデザインは京アニ代表作の『けいおん』、昨年放送された『氷菓』などを手掛けている堀口悠紀子さん。
安定感抜群の和やかで可愛らしいキャラクターは、京アニ作品としてお馴染みでファンの期待を裏切ることは無いでしょう。
OpやED、背景などの作画も流石は京都アニメーションと言わざるを得ない抜群の仕事っぷりではありましたが、前述のとおり作画面が良すぎてもあのシナリオではどうしようもありません。
今まで数々のヒットを量産した京アニの作品と比べても唯一の安定したキャラデザと作画こそ評価できますが見劣り感は尋常ではないです。
とは言え、キャラクターの愛らしさ等に癒されたいと思う方も居るかもしれませんし、本当に日常系が好きだと言う方には良作になり得るかも知れません。
個人的には正直、オススメ出来る作品ではありませんが、一度目を通してみても判断しても悪くは無いかもしれませんので……
ではでは、酷評となりましたが以上です。