「GJ部(TVアニメ動画)」

総合得点
73.8
感想・評価
1283
棚に入れた
7090
ランキング
976
★★★★☆ 3.6 (1283)
物語
3.4
作画
3.6
声優
3.6
音楽
3.4
キャラ
3.8

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ネタバレ

モモンガ喪中 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

みんなGJ部になる

最初はなんとなく視聴。なぜか1話で切らない。何気に毎週楽しみになっている。終わってしまってとても寂しい。
その寂しさがとても心地よい。
575.57577.
短歌や俳句のような置いてきぼり感。
だがそれがいい。

淡々としている。妙に冷め切った中2的な要素はない。
ムーグシンセサイザーのBGM。部室という空間。
限定された空間と時間。

日常系ではあるが非現実的ではない。
最終回で見事に視聴者を夢の世界から現実へといざなった。
もうGJ部の彼らにあう事は出来ない。
もう彼らの時間は終わった。
もうキョロと部長の関係は違うものになってしまった。
お互い尊敬し、恋愛とも友情ともつかない絆が確かにあったが
それを確かめることもこれから先この二人が恋人になったり夫婦になったりすることもないのだろう。
お前がGJ部の部長になる。
その全てに集約されている。
能では役そのものに自分がなる。という。
西洋では演じる(嘘をつく、客を騙す)という。
キョロはGJ部でGJ部という空間に身を置いてともに生活をした。
第一話で部長は(私がGJ部だ。私が前部長から受け継いだのだ)と宣言する。
(GJ部ってなんなんですか?)
そして最終回キョロはGJ部部長になった。
タマにはそれがなんなのか解らない。
言語というものはその土地の空気とともに習得するものだ。
よって空気を吸い慣れ水をすすらなくてはならない。
タマにもいずれ解る時が来る。
解ったら解るものに伝えそれが済んだら卒業してゆく。

大人になりたくなくても大人にはなる。
みんなお父さんやお母さんになる。

やりたくなくてもお父さんをやりお母さんをやる。

かつては私だったあなた。 
いずれは私であるあなた。

いつか海外で暮らすようになり(日本てどういうところ?)という質問に対してどう答えるだろう。

キョロとタマは見初められそこに存在する事を許された。
そこに存在しなさい。

日本庭園のように一つの宇宙を構成する要因としてあなたはここに存在しなさいと定められた。

だから彼らは背伸びをしたり努力をする事もなくそこに存在し続けた。

存在することでその空間がなんであるか自分がそのものになることで部長になった。部長を引き受けたわけでもただ引き継いだのではなく部長になった。
(GJ部魂ってなんなんですか?)
それがタマには解らないのだ。
しかしいずれそれはタマに引き継がれタマ自身が部長=GJ部そのものになるのだ。

そのときにはキョロもいない。

この空間で起こる事は中世の宮廷で繰り広げられる源氏絵巻のように伝統へと昇華しあたりまえという日常になってゆくのだろう。

別に地球が崩壊するとか人類が滅亡する。という類の話にはさほど絶望感は持たないのだ。

しかし、ただの日常系クソ豚萌ブヒ系アニメにすぎないこのアニメには人類が絶滅する以上の喪失感を感じる。

その空間は恐らくは存在し続けるであろうが彼らが彼らである時間は二度とない。

けいおんでは卒業して同じ大学にゆくなどという商業的な理由でそこを描くことが出来なかった。
夢から覚めるという終わりではなく夢のまま。という日常系ではなく非日常系の終わりになってしまった。

突然訪れる永遠の別れ。
この別れは死別する以上につらいものかもしれない。

死んでしまうのえあれば永遠に自分だけのものにしてゆくことが出来る。
しかし、仮にまた会えるにしてももう違う人間にそれこそ(なってしまっている)部長であって部長ではないなにかに。

こういう事をいうのは男の身勝手なのだろうか。

お互いが好きあってはいたが今までもこの先も決して付き合う事はなく、ひょっとしてもう二度と会わないかもしれない関係。
そしていずれ他の誰かと結婚し家庭を築くようになってもそれを超える事は出来ない。
 一見まるで別物のような押見修造の物語と同じように私の心をえぐったグロい最終回であった。
 出来ればこのまま視聴者を置いてきぼりにしてほしいものだ。
2期をやったりはしないで、精々どうでもいいような水着回のOVAを出す程度に留めてほしい。そうすれば伝説になれる。

人に勧めても(全然面白くない)とか言われたくないからまず勧めない。
多くのアニメを見てきた人にも精々50点~60点位の評価しかもらえないだろう。

日常系・やれやれ系主人公・ハーレム・学園・謎の部活・可愛いロリ部長・クールで黒髪ロン毛・一癖ある後輩。このキーワードで語る事が出来るアニメなど他にいくらでもある。
そしてこれもそのうちの一つでしかないのかもしれない。

そんなものにうんざりしていたはずなのに。

プログレ全盛期に突如として現れたピストルズやラモーンズのようなものなのかなあ。

しかしなぜかやってることは凄くプログレなんだよな。

伝統美・様式美・それを受け継ぐということ。

お役目を終えた先輩はもういなくなります。

だけどあなたがそのものになるのです。

・・・・・・


なんでこんなに日本的な内容なんだろう。

私にとっては50点でも60点でもなく

評価のしようがない作品になりました。

GJ部になってしまった。

なってしまった以上GJ部はGJ部でしかないのです。

投稿 : 2013/03/28
閲覧 : 211
サンキュー:

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