芝生まじりの丘 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
み、みやこたそ...
全体的に見て高い評価を集めるに値するクオリティの作品だったと思う。2つの交錯するようでしていない話が平行して流れていくのは、小説でよく見る手法だが、いいように視聴者の気持ちを揺さぶり続ける成功していると思う。自分はあんまりアニメの恋愛要素は好きになれないことが多いが、このアニメはそんな自分でもあまり違和感なく見れた。この作品の2つ目の大きな魅力はその中二病じみたストーリーと言葉運び、そしてそれに合ったシャフトのオサレ演出でしょうね。(それだけにキャラのギャルゲ、エロゲ絵とオサレさとのミスマッチが少し気になりもしたが、)
【主人公について】
個人的にストーリー上で特筆すべき点の1つは主人公に焦点がきちんと置かれていることである。こういう恋愛モノは大抵主人公がヘタレだったり、そしてそのくせ妙なプライドを持っていたり、脚本家がヒロイン陣のキャラの魅力を引き立てるのにかまけているのか、中身のないことが多く、なんでこんな奴がモテモテなんだ...と首をかしげることがつきものである。結局なところ誰でも共感できるよう、"平凡で、正論しか言わない、外見は突っ張っていても善良な主人公"を量産した結果、何の魅力も人間味もないカカシどもがのさばっているのである。これは何故か特にライトノベルやギャルゲ作品に顕著である。ギャルゲは、主人公=自分、な面があるからわかるが、ラノベは何でなのだか僕にはわからない。
だが、この作品は等身大の人間として、迷えるヒーローとして、結構主人公を大事にしている。ゆえに珍しく主人公に割に感情移入しやすく応援できる。(スクールデイズみたいなのもある意味主人公にちゃんと魅力があって嫌いじゃない)
それとヨーロッパ調の風景とオサレ演出の調和した全体的な世界観も自分好みだった。千尋ちゃんのキャラはあんまり好みじゃなく、メインヒロインが好みじゃないって恋愛モノで致命的なはずだけれど、そんな物語の世界観が自分をぐいぐい引っ張って、物語に惹きこませてくれたのかもしれない。
【エロゲ原作モノとラノベ原作モノ】
自分はエロゲをやったこともラノベも読んだこともないが、エロゲ(ギャルゲ)原作の作品とラノベ原作の作品の違いはわかる。ラノベ原作のものは、シリーズ物ゆえに週刊漫画に似て1巻ずつの小さなまとまりが綿々とつながれ、あまり1つの大きな物語としての構造は考えられていない。それゆえにこそラノベものは大抵「部活」だとか、「組織」だとか、事情により行動を共にすることになった一つの共同体だとかそういったシリーズ全体を貫くフワッとした枠組みを作ることになる。(もちろん例外はあるだろうけれど)他方でエロゲモノは結構全体のまとまりがしっかりしていることが多い。漫画作品もまとまりがないのは同じで、この点エロゲの方が、それらに比べ1作品の完成度の高さでいったら有利になるかな。
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最近3度目の視聴をしたので追記。はてさて昔見た作品を再び評価するのは難しい。まあ繰り返し見れば見るほど、覚えてしまうから衝撃がない。その上こちらの立場、考え方も変わっている。これは少し寂しいことだ。この話はむしろ変わらない女の子の話だったけれど、人は普通変わってしまうのだ、時と共に。
何が言いたいかというと前ほど心打たれなかったということだ。まあただそこそこ面白い作品ではあるし、大体の内容や、演出は好きなのだけど。ただ締めは感動に着いて行けなかった。好きってこいつら何回言ってんねんと。もう少し慎みある言葉遣いとかでもよかったかなと。
まあ年齢的にこういう作品を見るのが辛くなって来ただけかなあ。あとやっぱり初見じゃないからね。
でもまあやっぱりこの界隈で個人的には評価が高い作品であるのにかわりはない。オーソドックスに青春モノ、恋愛モノをちゃんと気概もをって作っている感じが嬉しい。主人公がちゃんと登場人物の一人になっているし、言葉回しも心地よいものがいくつかある。そしてなんだか非常に青々しい。ちょっと恥ずかしいくらい青々しいけれど、今後さらに歳をとってもこういう作品がたまには見れる懐の広いおじさんになりたいなと。