ローズ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
言葉だけでは伝えきれない本当の想ひ(ネタバレ注意!)
森の中で迷子になった竹川蛍(たけがわ ほたる)の前に狐のお面をかぶったギンという青年が現れる。
人間に触れられると消えてしまう不思議な存在のギンと蛍によって描かれた恋愛ファンタジー作品。
人間は、子供から大人になるために成長します。
その成長過程で子供だけが許される幼児性を捨てなければ大人になれません。
体だけが大きくなっても精神が幼稚なままでは、本当の意味での大人にはなれないでしょう。
人間である蛍が大人になるためには、ギンとの別れは必然だったのかもしれません。
幼少の頃に出会い、毎年の夏休みが来ると森で遊んで、お互いの距離がだんだんと近づいて惹かれあっていきます。
ギンが人間に触れてしまうと消えてしまうため空間的な距離がありましたが、心の距離は近づいていきました。
手をつなぐなど仲良く触れ合いたい気持ちを抑えて一緒に過ごす事は、楽しい時間を共有できますが、お互いにとってツラい事だったのかもしれません。
ギンが消えてしまう前に蛍を呼んで抱き寄せたのは、線香花火が消える前に最後に一番綺麗に輝くような事でしょうか。
ギンの最後の願い、それは蛍と触れ合う事だったのかもしれません。
ギンの存在が消えても蛍の心に残れば、ギンとしても本望だったのでしょう。
ギンと蛍の2人にとっては、淡くて切なくて儚い初恋物語でもあります。
人間の致死率は100%です。
誰しも別れなければいけない時が必ず訪れます。
その別れの時に悔いを残すか満足しているかは、各々の人生の過ごし方によって決まります。
大人になっても一生忘れられない思い出や初恋などを思い出すキッカケとなる良質の作品で
した。