るぅるぅ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
時代遅れの男達には、この仕事は向いていない
ストーリー演出が本当に素晴らしいです。
伏線の回収も出来ており、筋道がわかり安い点は否めないですが、それを引っ張るだけの演出が巧い。
最後の結末は人によると思います。
【世界観】
人々はシビュラシステムにより人が生きていく上で支障がないコンピューターによる統治された日本。
その元になっているサイコパス「人間の精神状態を科学的に分析し数値化したデータ)から犯罪係数の高い者を裁く公安局刑事課一係。
そこに所属した新人・常守 朱(つねもり あかね)の過酷な物語です。
【キャラデザイン】
『家庭教師ヒットマンREBORN!』の天野明氏。
ストーリーの雰囲気とそぐわない絵でやや抵抗ありましたが、常守 朱だけは微妙でした・・・キャラが良いだけに損しています。 彼女のあどけなさ・人柄のイメージ構築によるものだろうが不満はありますね;
【作画】
18話においては絶望的ですね。
普段ふれる視点ではありませんが素人の私ですら酷いとしか言えなかったですね;
全体的に地下やバーなど暗い背景が多かったですね。ドミネーター(特殊な拳銃)の発砲シーン・デザインは凝っていて良かったです。光で誤魔化すような描写がなく満足です。
作品の性質上グロ描写があります。
【音楽】
「abnormalize」凛として時雨。
狡噛のイメージソングにしたいほど格好良いです!
「Out of Control」Nothing's Carved In Stone
絶園のテンペスト『Spirit Inspiration』にも起用されています。
「名前のない怪物」
「All Alone With You」EGOIST
ギルティクラウンでその歌声は存じていると思います。
【視聴された方向け感想】{netabare}
まず、色々と綴りたいことがありますが、このアニメのコンセプトについて「警察もので攻殻機動隊を超えよう!」です。
皆さん、どう感じられましたか?
制作側は満足できたのか不明ですが、私の解釈として同じベクトルでない作品を比較すること自体が可笑しいですね。
超えているか超えていないかといえば、後者です。
攻殻機動隊との比較をするつもりはないです。
ただ、一視聴者として山本Pに伝えたい私の答えです。
【内容】
視聴者に世界観・槙島の存在・シビュラシステムの欠点・個々のエピソードを保管させ、1話冒頭に持っていき収束する流れはベタな見せ方ではあるが好きです。
狡噛・槙島との心情的な部分は酷似しており「孤独」である共通点。朱の主観で見せつつ狡噛・槙島の思考が中心の為、テンポが悪くなってしまったと言えます。
狡噛は、同僚の殺害によって槙島を恨み復讐ともいえる執念をもつが過剰な行動力により公安で浮いた存在。
唯一、理解していた とっつぁんが居たから猟犬として居れたのだろう。
また、朱の包容力とでも言うべき理解しようとする存在が疎ましい存在から最終的に刑事と認めたから、22話「朱!!!」と呼び捨てにできたのだろう。
槙島、彼が本当に良いキャラしていましたね。シビュラにおいてイレギュラーな存在として、社会にはじかれた孤独。
その孤独を埋める思考として彼はシビュラに復讐を考えたのかと想う。槙島の読む本が所々でてきたが、その辺りは説明できませんw その辺りは掘り下げて解説して欲しかったのが本音。
シビュラの真相がサイコパスに写らない200人による管理の実態を知るも、人としての才能・人間関係の取替えがきくシステムに守られている憤りが根底にあった為、受け入れることなど出来ないのは当然。
狡噛もシビュラの存在に疑問を抱いてい為、違う世界で出会えたら彼らは共謀となり孤独を埋める友となれたのだろう。
人としての存亡を遵守しすぎた行為は間違っているとは言えない。
朱、最終的にシビュラに選ばれるわけだが、推測として時世代においてサイコパスの色相が濁らない特殊な存在だったのでは無いのか? と考えるとシビュラがその可能性を考慮して露見するリスクを犯しても不思議ではない。
槙島 悪
狡噛 悪になりきれない悪
朱 悪になりきれない正義 と位置づけられる。
あくまで私の主観であるので不快に想わないで欲しいです。
3者ともに根底にシビュラという絶対正義に悪意をもち共通しているが、彼女は破壊ではなく人による構築と考える。
「守るに値しない法律をつくり運営することよ」という答えだった。法律が人が守るのではなく、人が法律を守るから今ある社会を否定できない彼女らしい見解であった。
それは人が幸せであると感じられる社会でないと痛感した時がシビュラの崩壊なのだろう。
Happy ED としてシビュラを壊滅しても誰も救うことが出来ない世界において結末として、もう少し捻りが欲しかったね。
例えるなら、朱がシビュラを乗っ取るニュアンスで終わらすなど、もしくはシビュラ崩壊した世界の在り方を見せても良かったのではないか? とね。
そして狡噛は槙島と同じくいつかこの世界を人が考える生きる旧時代に戻そうと足掻くのだろう。
最後に「時代遅れの男達にはこの仕事は向いていない」このセリフが何気に作品を一言で表せていたと感じる。
シビュラの存在を中心に心情描写は本当に楽しめました。
【余談】最後に狡噛が読んでいた本は、
失われた時を求めて スワン家の方へ である。
EDテロップで所長と雑賀のやり取りが意味深。{/netabare}
【テーマ】人としての尊厳が失われた世界の幸せ
人によってはテンポが悪いと想うかもしれませんが、世界観に惹かれたら観て損はないです。