りゃむ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
いい作品だからこそ・・・
あらすじについては割愛。
設定上シビラシステム自体に無理がある。というのが総括としての突込みです。
結局作中でもシビラ制御の社会を否定する描写は出てきていますが・・・そもそもそういうことではなく、このシビラシステム自体の導入には大きな障害がついて回ると思います。
このシステムを導入するのであれば最低日本人口1億人以上すべての人間を洗脳下に置かなければ成り立たないということです。
何故ならば導入に際し槙島聖護と同様な意識を持つ人間がもっと多くいてしかるべき→それは国を動かすうえで無視できないレベルでの反シビラ思想になりかねない。と推察できると思います。
そしてもしその規模での洗脳が可能なのであれば、それは個々の犯罪係数自体も操作可能なのではないかと思えます。
また“合理的に幸福な社会を生み出す”という無感情な思想をもって運営されているはずのシビラシステム。そしてシミュレーション能力自体も言わずもがな高度なはずです。
そんなシステムが約200万人に1人の割合で存在すると予測されている免罪体質者が現れる可能性を算出できなかったでしょうか。その存在を無視、隠匿するでしょうか?
シビラシステムを守るために隠匿するにしてもそれは合理的と呼べるでしょうか?
仮に日本の人口が減っていて1億人を切っていたとしても国内に50人前後はそういった特異者が存在し、そのうちの数人が凶悪犯になりえる可能性というのは決して低くはないはずです。
これらのことは結果として本編の最大の敵である槙島聖護が(思想の危険度はあるにせよ)作中で最も正しいことを語っていたという印象を受けざるを得ませんでした。
対比として常守朱の主張自体は理想論でしかなく、ただ当たり前のことを述べてるに過ぎないという結論になってしまいます。
重箱の隅をつつくような揚げ足取りになっちゃうかもしれませんが、これはこの作品の完成度が高いからこそより浮き出てしまったものだと思います。
だからこそ個人的には最後に槙島にテロを完遂させシビラシステムをぶっ壊した上での退場を望みたかった・・・
どうやら攻殻機動隊を超えた作品にするという大目標があったようですが、僕個人の中では残念ながら・・・ですね。
ここまで一つの作品について深く考察できるのはテーマ、描写、シナリオなどなどがすごく高いレベルで展開されているからだと思います。
そういった意味ですごく面白い作品でしたし力の入った良作だと思います。
アニメーションとしての質はここまで練りこまれた作品、かつリアルな描写を要求される雰囲気で毎週作って・・・ということを考えると十分な出来だった思います。
おそらく発売されるディスクではもっと質が向上してるでしょうから。
18話の一件については・・・触れないでおきましょうw
幕のおろし方として続編(劇場版な気がする)が作られる雰囲気はあったので、今回消化不良に終わった部分を描いてくれたら最高です。