九条 さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
絶対的不可能を可能にする天賦の才。
獣の医術師は獣の為ではなく、獣を戦争の兵器として懐柔する人の為にあるという、人間本位の思想を
忌み嫌う少女(エリン)と王獣の感動の物語であり、「アルプスの少女ハイジ」の再来を仄めかす世界観。
原作者(上橋菜穂子)の「精霊の守り人」と成長譚かつ教育的意味において、双璧を形成する作品であり
母親との死別、恩人の死といった苦境を乗り越えても、エリンを待ち受ける運命は過酷化の一途を辿る。
しかし、度重なる窮地に苛まれ心が折れそうになっても母親と恩人の教えを頼りに一生懸命生きていく。
その結果、決して人に馴れることのない王獣に対し絶対服従を強いる「音無し笛」を吹かずに接しており
人と獣に限らず、この世にあるものが、なぜそのようにあるのかという生命の根源的な部分を再考する。
唯一、何食わぬ顔で猪肉を頬張るエリンが弱肉強食の自然体系に反する主張をするのが「疑問」であり
畢竟するに、ベジタリアンの設定を補足しておいた方が、本作上は都合が良かったと言わざるを得ない。