ともか さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
アニメを観始めてから初めての、不思議な感覚…?
P.A.WORKSによるオリジナルアニメで2クール(全26話)の作品。
高校生で東京育ちの主人公・松前緒花が
祖母経営の旅館でアルバイトをし、
その経験の中で人として成長していく姿を描いた物語。
3話×9回(最後だけ2話)で結構な日数をかけて視聴しました。
ほとんどの場合において、
楽しい、面白い作品は時間があっという間に過ぎるように感じられ、
苦手、もしくは無関心な作品は時間の経過が遅い
ものだと思っていた。
しかしこの作品は不思議なことに、
自分では楽しめているつもりなのに、なぜか時間の経過が遅く感じた。
理由として、2クールでも全く中だるみをしないような
内容てんこ盛りな作品であったことが真っ先に浮かんだ。
でも本当にそれだけだろうか?と少し気になり、私なりに考えてみた。
この作品は主人公(だけでなく他の人物たちみんな)が
成長していく姿を描いた作品で、その本筋は終始しっかり通っていたと思う。
ところが、イベント盛りだくさんにするあまり、寄り道があまりにも多すぎて
幹となっている部分の物語の進展が遅くなり…。
テンポが良いように見せかけて実は良くない、
おそらく1クールで十分な物語を、うまい事2クールに膨らませたような感じがした。
根幹を手早く見たいと思っていた私は心のどこかで焦れていたのかもしれない。
それでも、視聴者を退屈させないという意味では素晴らしい作品だったし、
2クールあるおかげで各キャラをしっかり描くことができていたのも良かったと思う。
比較になってしまいますが、同社の作品『TARI TARI』は
キャラがあまりにも「等身大」すぎて、
私は登場人物に愛着を持つことが全くできなかった。
それに対してこちらは どの人物もどこかしら癖があり、
かといって度が過ぎているわけでもなく、
多くの方が楽しく観やすいように配慮もされていた気がする。
随所に誰かがドジを踏むようなネタが仕込まれていたり、
一見しっかり者のように見えて内面はそうでもなくボロが出たりで
キャラ面も総じてなかなか面白かったと思う。
女将は余計な台詞はほとんど言わず、言葉の一つ一つにも重みがある気がした。
厳しい中にも優しさが見えて、これは理想像なのかもしれないけれど、
もしこんな人が居てくれたら嬉しいものです。
声優は全体としてキャラのイメージ(見た目)に合っているし、
間の取り方なども非常に良かったと思います。
音楽はその回の物語展開に合わせて特殊EDとなり、映像も変化。
雰囲気も合っていて良かった。
中でも「夢路」(第8話と最終回のED曲)が個人的に好き。
ただ、後期OP曲の曲調と裏腹に、ストーリーのほうは疾走感がなく、
個人的に若干ミスマッチのように感じたのが少し残念。
前期OP: ハナノイロ
後期OP: 面影ワープ
前期ED: Hazy
後期ED: はなさくいろは
特殊ED一覧
第06話: 月影とブランコ
第08話: 夢路
第11話: 細胞キオク
第22話: ハイリープ
第25話: Ray of Light
第26話: 夢路
(挿入歌については割愛。)
作画は お手本のように最高です。とにかく丁寧で色使いも優しく、
こちらもまた多くの方が観やすいように作られている印象を受けました。
Another、TARI TARI、花咲くいろは と視聴して、
P.A.WORKS作品の絵がとても気に入りました。
前に観た『TARI TARI』が もろにドラマ展開でしたが、
この作品も少しだけドラマっぽさがあったように感じます。
ところが、この作品はドラマが嫌いな私でも大体楽しめました。
人気があるのも納得です。
未視聴の方々に「とりあえず観てみては?」と言えるくらい
幅広い層に受ける作品であると思います。
劇場版が本作の総集編なのか、続編なのかも気になるところ。
後者であれば観てみたいです。