ヒロトシ さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
はみ出し者達の紡いだ歴史
映画館で見ましたが、小学生だったので話は本当に分かりませんでした。ただ迫力ある映像とタタリ神の狂気的な姿が非常に怖かったのは覚えています。大学生の時に見直しましたが、流石に内容はそこそこ理解できたものの・・・やっぱり難しい!宮崎監督は当時この作品で引退するかもみたいな話もしていましたね。そういう刷り込みもあってか、宮崎監督の狂気ともいえる雰囲気をこの作品からは今でも感じ取る事が出来ました。
{netabare}主人公アシタカはかつて大和朝廷との争いに敗れた蝦夷の末裔、ヒロインであるサンは人間にも山犬でもない娘、タタラに住む者達は、らい病を患ったり、身請けされた女だったりと表の世界で生きていくことが難しかった人間達がこの作品の主役となっています。そんなはみ出し者同士がお互いの安住できる世界を求めるために話し合いではなく、戦を始めるという展開が非常に切なさを感じさせます。スタジオジブリ御用達の音楽担当、久石譲さんの奏でるBGMは時に優しく、時に残酷と、場面ごとにカラーを変えていたのが素晴らしかったです。
アシタカはどちらの味方でもなく、両方の勢力に属した経験から、最終的にサンとタタラ者達との『共生』という選択肢を勝ち取るまでにあらゆる所で奮闘します。タタラ神の呪いを受けてからなのか、元からなのか分かりませんが、非常に達観した青年という描かれ方で、好感が持てる人物でしたね。主人公が尊敬できない人物だったら、あのようなEDを見せられても全く納得できるものではありませんでしたけども。まあ元々蝦夷の村ではリーダーとなるべき存在だったようですから、充分なカリスマ性は元から持ち合わせていたのだと思います。
後、私は宮崎駿の映画で本職の声優をさほど起用しない主義はあんまり好きではないんですが、この映画に限ってはそこまで違和感を感じるキャスティングではなかったので、あまり気にせずに鑑賞出来るのも、この作品が好きな点ですね。気になる人は気になるんでしょうがw でもモロ役の美輪さんの演技なんかは鬼気迫るものがありましたし、流石だったと思います。舞台経験のある俳優さんをメインに据えたのが、そう思わせる要因なんでしょうね。そうそう、かつてナウシカの声を務めた島本須美さんが出ていたのもファンとしては嬉しかったです。トトロ以来のジブリ出演でしたね。
提示されたテーマに自分なりの考察を加えて楽しむもよし、宮崎監督の迫力ある演出に圧倒されながら見るもよし、話は難しいですが、色々な視点から視聴できる作品だと思います。{/netabare}