ポロム さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
輪るピングドラム
「少女革命ウテナ」と「ユリ熊嵐」の
幾原監督のアニメです。
他のアニメには無い斬新な演出が新しく、
伏線の回収や謎に包まれた物語が印象的です。
まだ学生だった時の春休みに
百日咳にかかり、何かアニメ見たいなぁと探していたところ
ピンドラに出会い2日間で全24話観ました。
好き嫌いが分かれるアニメですが、
少女革命ウテナ視聴後に観ると理解が深まります。
95年に起きたあの事件と銀河鉄道の夜をしばしば引用されています。
(荻窪駅から池袋駅までの丸ノ内線が舞台)
作中で苹果の作る美味しそうなカレーと
綺麗な赤い、蜜溢れるりんごが美味しそうで
・・お腹減ります!!(笑)
我慢できなくなってアニメ観ながらりんご切って食べたり
夕食に調子乗って連続でお肉いっぱいの
カレー作ったりするほどハマりました。
OP伏線の一部 多少ネタバレあり
{netabare}
前期OP「ノルニル」(1~14話)
燃えて消失する苹果
→運命を変えた代償・・?
一面に現れる「95」
→冠葉、晶馬、苹果が生まれ、
事件が起きた1995年03月20日
真砂子のポーズ→22話に繋がる
後期OP「少年よ我に帰れ」(15~24話)
ピンク色の靴を履いた女の子(桃果)の
つま先に口づけしようとする多蕗
→足のつま先のキスは服従の意味
足先が燃える苹果
→前回(ノルニル)みたいに苹果自体が消失するわけじゃない
冠葉と晶馬、陽毬の走る方向が違う
→冠葉一人だけ違う方向に走っている
違う運命に向かっているか、道を見失っている
{/netabare}
テーマは家族・・? 重要なネタバレあり
{netabare}
Wikiを見るとテーマが「家族」と書いてある。
1話の最初だけ見ると3人兄弟が仲良く暮らしているように見えるが、
1話の最後に妹であるはずの陽毬を愛おしそうに見つめて
キスをする冠葉が異様な光景に見える
5話で苹果がペンギン帽を投げつけてどっかに行き
陽毬の命が危ない時自分の命さえ顧みず
体中ボロボロになりながらも陽毬を救おうとする冠葉の姿は
妹のために頑張るお兄ちゃんとしてではなく
愛する一人の女性を救おうとする男性に見える。
19話で真砂子が陽毬に向かって
「本当の家族でもないくせに、お兄様を返して」
というシーンを見て虫唾が走ったけど、
結局考えを整理してみると、
夏芽家;冠葉、真砂子、マリオ
高倉家;剣山(父)、千江美(母)、晶馬
??家:陽毬
で、陽毬と冠葉は高倉家と血の繋がりはなく、
陽毬は10年前に実母に見捨てられた所、
晶馬に見つけてもらい家族になり、
冠葉は企鵝の会の父について夏芽家を出て、実父の死後
陽毬に見つけてもらい家族になった。
つまり・・このことを理解して1話を見ると
また、見方が変わる。
たとえ血の繋がりがなくても、
この3人は家族以上の繋がりを感じる。
{/netabare}
重要なキャラクター「荻野目苹果」
最終回ネタバレあり
{netabare}
95年の事件によって亡くなった
姉の桃果が託した運命を記録し
運命自体を乗り換えることもできる「運命日記」
「運命の通りに行動すれば・・
田蕗先生と結ばれれば・・」
桃果が亡くなったことにより喧嘩が絶えず
出て行った父親が帰ってくるはずだと、
信じて桃果と同化するために、田蕗をストーカーし
「プロジェクトM」を実行しようとする苹果は狂気を感じたけど、
結局田蕗への想いは自分の思い込みで
晶馬と出会い、「苹果は苹果だ」と認めてくれた彼に
苹果は晶馬への想いに気づく。
(話の回数重ねるごとに、林檎と晶馬の電車の座る位置が
近づいていくのが心の距離を表しているので必見!)
日記の本当の意味
「大切な人を救う」ことを知り、
たとえ「運命を乗り換えた代償」の呪いを受けて
体が燃え尽きようと「陽毬ちゃんを救う!」と決め、
23話のサネトシに日記を燃やされ
自分が燃える覚悟で火傷を負いながら
日記を守る苹果の姿に涙腺が緩んだ。
そして最終回の24話で苹果が
「運命の果実を一緒に食べよう」と全身で叫び
運命の乗り換えが始まるシーンが泣ける。
苹果の体に炎が纏った時に
晶馬が苹果の「運命の乗り換えの代償」を引き受けて
「愛している」と伝えギュッと抱きしめて
晶馬が消えるシーン・・。
苹果の手に注目。晶馬と離れても彼の手を掴み取ろうとする姿に
苹果の性格が出ていた。
毎回このシーンでボロボロになるほど泣いてしまいます。
小説版見ましたが、晶馬の「愛している」の言葉は
どれだけ重くて愛おしい意味か、後になって知りました。 {/netabare}
奇跡 最終回 重要なネタバレあり
{netabare}
サネトシが「お前たちは塵一つ残せない
ただ、消えていくだけ・・」と呪いの言葉を残したが
冠葉と晶馬はその運命を変えた。
運命の乗り換えの電車に陽毬を乗せ
ガラスの破片のように虚空に砕け散って消えていく
冠葉の破片が陽毬のおデコに傷を残し、
蠍の炎に焼かれ消えていった晶馬を繋ぎ止めようと
差し出した苹果の手首に火傷が残った。
二人に冠葉と晶馬の記憶は残ってないけど
確かに愛された記憶が魂に刻まれ、
二人が存在した証として体に傷が残った。
呪いさえ超えて、愛が奇跡を生んだ。
クマのぬいぐるみの中に入っていた
冠葉と晶馬の愛情溢れるメッセージを見て
「あれ・・どうして 私 泣いているんだろう」
とひまりが言うシーン・・泣ける。{/netabare}
大好きな作品だけど、
10話の作画崩壊回が気になったので少しマイナスで・・(笑)
ウテナが好きな方や、伏線回収が好きな方。
今までと違ったアニメが見たい方
自分で解釈しながら、考えながらアニメを見たい方に
オススメ・・かもしれません。