STONE さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
そこに至るまでのものが欲しかったかな
原作は未読。
スポーツもので、主人公の回りに個性的なメンバーが集まり、強者に挑んでいく図式は結構
好き。
スポーツものに限らず、何らかのスキルを競う作品の主人公のスタイルはオーソドックス
だったり、王道なものであることが多いが、この作品の主人公の黒子 テツヤのスタイルは
かなり異色。
野球のピッチャーは別にして、球技をモチーフにした作品は得点シーンが華である中、
主人公がパスやスティールなどに特化しているのは、これまでのバスケ作品にはないもので、
それだけで個性的。
この手の部活スポーツものは、練習して、大会出て競うと、大枠の話は最初から見えて
いるので、その過程の面白さと、敵も味方も含めたキャラの魅力がポイントだと思うが、
それに関してはかなりいい感じ。
試合シーンの作画は躍動感があるし、各キャラのプレイスタイルなどはいずれも個性的で
面白い。ただ技名を叫んで、背景に雷光が走るような荒唐無稽設定こそないものの、プレイ
内容は高校生のレベルを越えたスキルの応酬でリアリティには欠ける。まあフィクション
だから、それはそれでいいんだけど。
リアリティに欠けると言えば、終盤に逆転して、僅差で勝つパターンがちょっと多すぎる
ような。こういうパターンはドラマティックで一番盛り上がる展開ではあるが、多用
しすぎるとマンネリ気味に映る。
もっと欲しかったのが各キャラの持つ背景描写。
主人公の黒子を始め、かなり個性的なプレイヤーが登場するが、そのスタイルや考え方に
至るまでの描写が見たかったかな。青峰 大輝などはよく描かれていたように思えたけど。
この青峰に関してなんだけど・・・。
その強さゆえに並ぶ者がおらず、充足感を得られない絶対的強者キャラはこの作品に限らず
結構いたりするが、この作品での青峰は高校バスケという、作品世界におけるヒエラルキーの
頂点ではない位置にいる存在のため、なんか「井の中の蛙」みたいに見えちゃう。そんなに
強者が欲しいなら、アメリカでも行ったら?みたいな。
まあ、あの傲慢な態度は「早く自分のレベルまで来て」という一種のツンデレなの
かもしれない。
キャラの掘り下げに関しては、誠凛メンバーをもっと扱って欲しかったというのもあった。
黒子と火神 大我のバディものという色が強い作品ゆえに、二人をプッシュする演出なの
だろうが、スタメンぐらいはもっと重きを置いても良かったんじゃないかと。
登場キャラはほとんど男子。少年ジャンプが原作ゆえにそんなシーンはまったくないが、
男子ばかりがつるんでいるため、BL的妄想を膨らます人も多そうな作品。
シリーズ構成上、仕方なかったんだろうけど、最後の大一番が桐皇対海常という主人公
不在の状態というのはちょっと収まりが悪い感じ。
現状に限界を感じた黒子が自身をどう進歩させていくかが今後の見所の一つなのかな。
原作未読ゆえにあくまで想像ですが、これは自身が突破力や得点力を得ることなのか?。
ただ普通にオールラウンダーになってしまうと、黒子というキャラのスタイルの面白さが
消えてしまうわけで、黒子らしさを失わないニュースタイルがどんなものかが楽しみ。