ヒロトシ さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
それでは一曲歌ってもらいましょう!『神様お願い!』
舛成・倉田の黄金コンビの作品。瀬戸内のある町を舞台に突然神様になったゆりえが織り成すハートフルアニメ。
{netabare}この作品何が凄いかって、ゆりえが『私、神様になっちゃった』と友達に話すシーンから唐突に始まるんですよね。しかも昼に教室で弁当を食べながらという、何とものどかなシチュエーション。日常のありふれた光景で行われる会話ではなかったので、今でもかなり印象に残ったプロローグです。日常と不思議の要素の同居がコンセプトという作品の方向性を、ゆりえの告白で視聴者にあらかじめ示唆していたのではないかなと、そういう狙いがあったのかもしれません。
ゆりえが神様になった経緯については本人の口からも真面目に語られもせず、周囲もあんまり細かい所を気にしていないのが面白かったですね。時たま、年老いた住人から手を合わせて崇められていたシーンもあって、思わず笑ってしまう所もありました。神様が日常生活に溶け込んでいるというほのぼのとした雰囲気は『癒しアニメ』として、充分に視聴に耐えうる物だと思います。
ゆりえの悩みが神様としてのものではなく、今時の中学生としての悩みが主にクローズアップされていたのが私は印象的でした。ある時、出雲大社に行かなければいかなくなって、その時ゆりえは一時的な転校をしたわけですが、神様という立場からか、転校先の学生がどう接すればいいのか分からない、といった一幕がありました。これが多分一般人の普通の反応なんですよね。ゆりえの地元はあまりにも大らかすぎw まあ、そのせいでたたでさえ引っ込み思案なゆりえが、友達が出来ないと悩んでしまい、ついには軽いホームシック状態になってしまう。でも最後になって、ゆりえとその転校先の子達は、お互い歩み寄っていき、再会の約束をするという結末を迎えました。その事からも神様はあくまで軽い付加要素なもので、根本的には中学生のゆりえの等身大の悩みを軸にすえて、成長を描いているストーリーになっていますね。火星人との交流の話も、最後まで友達としての部分を全面的に押し出していたのも、そうした意図があったからなんだなと後に思うようになりました。{/netabare}
ゆりえの声優を担当されたMAKOさんは元々アイドルグループ出身で、この作品のEDでゆりえがマラカスを持っているのはその名残だという面白い裏話もあります(MAKOさんはそのグループでマラカス担当だった為)、ワンピースの楽曲を歌っていたので、もしかしたら知っている人もいるかもしれませんね。