manabu3 さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
人間は死ぬから、生命を全うできるんだと思う
ただのロボットアニメだと思うことなかれ、このアニメはその世界観が面白い。中盤からのまさかまさかの展開に、いつの間にかこの世界に引き込まれていた。SFは好きだがロボットアニメは苦手、という方にも、一見の価値はあるかもしれない。
しかし世界観は良かったが、序盤の退屈さや終盤のオチ、ロボットバトルの淡白さは、難点であった。
少し「不完全燃焼」だったと思う。
■「もっと評価されるべき」について
このアニメには「もっと評価されるべき」の成分タグが付加されていたが、私はそこまでのめり込むことは出来なかった。理由は、3つある。
1つ目は、ロボットバトルがあまり面白くなかった。悪い言い方をすれば、戦闘は大した戦略があるわけでもなく、CGを駆使したただの撃ち合いであった。(この感覚は、私が巨大ロボットアニメ自体があまり好きではないから感じるものかもしれない)
2つ目は、世界観は確かに良かったが、面白いのは世界観だけだった。物語が動き出すまでの序盤の退屈さ、それと、終盤での展開はあまり共感できなかった。
3つ目は、登場人物の描写がいささか少なすぎた。彼らは中身のない人形のようだった。
以下はネタバレを含む酷評を、批判を承知で記述します。
{netabare}■ロボットバトルに関して
特に最終バトルにおいては、戦況は主人公側が圧倒的に劣勢だったはずである。それなのに「舞浜を守るんだー!」というみんなの想いと石つぶて、そして主人公の根性パワーで、いつのまにか敵をあっさり撃破。それがいいのかもしれないが、私には理解できなかった。もう一捻り欲しかった。
■世界観と脚本に関して
世界観は確かに面白かった、しかしそれだけだった。
浅学菲才な私が知る限りでも、似たような世界観の作品に、映画ではあるが『13F』(1999年)や、『マトリックス』(1999年)があげられる。つまり世界観は格別目新しものではない。つまり、これらのような既存の世界観と何か差別化するのであれば、何かしらの新しい要素や魅力的な脚本が必要となるはずだ。しかし、それらの要素はあまりなかった。
しかし、人間をデーター化することによる不老不死についてや、死なないという事は生きることになるのか?など、いくつか興味深いテーマはあった。
人間は死ぬから、生命を全うできるんだと、私は思う。
あまりの序盤の退屈さに、ヒロインのカミナギさんが途中で死んで物語が動いた時に、不謹慎ながら「おっ!」と思ってしまった。ごめんなさい。
■登場人物の描写について
登場人物については、このアニメは、全26話もあったのだからもっといろいろ掘り下げられたはずである。ルーシェンを始め、どの登場人物についての描写も浅薄すぎた。彼らについての説明が希薄な故に、背景も全く分からず、どのキャラにも感情移入することは出来なかった。{/netabare}
上記の「ネタバレ」においては、このアニメを酷評してしまったが、全体を通してみると、まとめるのが難しいこの世界観を、一つのアニメに上手くまとめたと思う。
オープニングやエンディングは、穏やかな曲に加え、透明感があってとても良かった。特に、キャラが、鳥や魚になる描写はとても美しかった。