ヒロトシ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
第37回横浜市アニメーション展優秀賞受賞アニメ(ウソです)
君が望む永遠は本当に好きな作品で、今まで何度も原作をプレイしました。アニメも原作に負けず劣らずのハートブレイカーぶりを発揮してくれています。タイトルなんですが、勿論こんな賞はないんですが、舞台が横浜市なんですよ。これ。アージュの作品は基本的に横浜が出ることが多いんですが、その中でもこの作品は横浜の景色を上手く使ってくれているので、住んでいる身としては中々感慨深いものがあります。ちなみに孝之達の通う学校は根岸森林公園の近くにあるという噂を聞いた事がありますけどね。本当かどうかは分かりませんが。
三角関係を扱った作品ですが、上手いと思ったのは、プロローグでヒロインと甘甘な展開をさせておいて、主人公のみならずに見ている視聴者も『この娘健気で可愛いな~』と感情移入した最高の瞬間を狙ってドン底に突き落とす所ですね。彼女と一緒にいる生活が楽しくて楽しくてしょうがない時期を作り手が熟知しているのが小憎らしい程。しかもアニメではこのタイミングで原作の主題歌を流してくるんで、原作ファンの視点から考えると、何か嬉しいやら、悲しいやら、複雑な胸中にしてくれる所にしてやられた!みたいな印象を受けますね。まあ、そういう作品なので、持ち味を充分活かしていると言われればそうなんですが。
よくこの作品の主人公である、鳴海孝之が『ヘタレ』とか言われますが、私はヘタレつーか、可哀想だし、状況も状況だからしょうがないんじゃないか?という擁護派です。初めて出来た彼女をああいう形で失えば、茫然自失にもなるでしょうし、そんな自分を支えてくれて、社会生活に復帰させてくれた彼女に愛情を抱くのも致し方ないでしょう。そもそも遙の親にも『君は君の道を歩いて欲しい』という感じの事を言われてたわけですからね。奇跡的に回復はしましたが、回復さえも分からない状態の娘に一生を捧げるというのは難しいでしょう。そうやってマジツッコミしちゃうとあれなんですが、そういう見方もあるって事で。
世の中のありとあらゆる不幸を集めてみましたー!って感じで本当にこの作品の登場人物は悲しいほど運がないなーと思うので、人と人の関係を描いたという所には若干疑問符がつきますが、ほぼプラスの感情だけで紡がれる恋愛作品では面白くないので、こういう作品があるのは当時では新鮮で良かったかなあと思います。理屈じゃなくって、感情のまま動いていく登場人物達を見てると、ある意味では、最もストレートな恋愛物語と言えるかもしれません。