maruo さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
もしもこんな精神科医があったら B+
原作未読
主人公である精神科医のもとにやって来る患者たちの症例に応じて、エピソードを組み立てたオムニバス形式の作品です。原作は直木賞も受賞した連作短編小説集だそうです。
題材が精神科で扱う内容ですから、少し敷居が高いと思うかもしれませんが、フジテレビの福井謙二アナウンサーが実写でひょっこりと顔を出し、症例を解説してくれるので、何も知らないとしてもさほど不便は感じないでしょう。
このアニメにはいくつかの特徴があります。
まずは、実写が多く取り入れられていることです。露出度の高いナースは完全実写で登場し、サービスシーンを演出してくれます。患者も実際の顔(声優さんの顔なんだそうです!)を合成して制作されていたり、背景にも多く取り入れられていたりします。その反面、モブキャラは薄っぺらに描写されるなど非常に極端です。
次に、高彩度の色が用いられており、良く言えば鮮やか、悪く言えば眼に悪いです。また、背景の様々な箇所に不自然な(通常あり得ない)色付けや模様付けがなされており、自然に画面に見入ることができません。実際にその世界に住めと言われたら、ちょっと勘弁してほしいと思うくらいに悪趣味です。
そして、主人公の姿が3パターンもあります。少年のような姿、中性的な青年の姿、熊のような被り物をした肥満体の姿で、ご丁寧に姿によって声優も変えてます(一つ目に朴ろ美、二、三つ目に 三ツ矢雄二)。主人公のいい加減さと相まって、人格の多面性を表しているようにも思えなくもありません。
これらは実験的な試みであったようで、ぱっと見ただけでも、いえ、公式HPを見ただけでも、普通のアニメと違うことはすぐに分かると思います。生粋のアニメファンには非常に受け入れがたいことであったらしく、本作の評判は割れているようです。
しかし、純粋なアニメーションにこだわらない人であれば、奇抜な表現方法さえ受け入れられれば、それこそ原作である短編小説を読むごとく、すらすらと視聴ができると思います。
扱われている症例そのものは、現代においてはいつぶち当たってもおかしくないものばかりですが、治療法(解決法)はいい加減そのものです。実際にある治療法は、例によって福井アナが解説してくれますが、主人公の治療法はなかなかにいい加減(というか凄まじい)です。深刻な話のはずなのに、今笑っても良いのだろうかと、ついつい思ってしまいました。
総括すると、この作品は非常に癖が強いので、アニメのみを愛する人にはお勧めしません。他の分野にも興味のある方(かつてあった方)、ミクスチャーなものを許容できる方にお勧めします。あと、オムニバスものといっても、中には繋がっている話もありますので、順番に視聴していくこともお勧めしておきます。