三崎鳴 さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
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森見登美彦作小説「四畳半神話大系」を原作としたアニメ作品。京都大学三回生の主人公が一回生の時に選択したサークルによってどの様な大学生活を送ったか,あらゆる可能性を一人称で描いた作品。それぞれの平行世界での人物関係や展開がお互いに干渉しあい大きな網を形成している。
自分が選択し精一杯生きた人生に悔いはあるか,過去を否定し自分の道を進もうとしない主人公の視点で何気ない日常の輝かしさをテーマとした本作。理想の恋愛を追い続けた主人公は最後の最後で自身の選択した道を進むことを決意する。恋愛は一種の幸福の形ではあるが人生の一部でしかない。良い事があっても悪いことがあってもそれらを全て享受して前へと一歩踏み出す勇気が自分の人生を輝かしいものにする。どんな辛い境遇にあっても,不毛と思える下らない日常を過ごしても,家にいつまでも引きこもり外に出ない生活でも,それを全力で楽しむ事が大事な事だ。そんなテーマ性と独特な演出が絡み一つの作品を形成した,傑作だと言える。
又,文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞,東京国際アニメフェア2011・第10回東京アニメアワードテレビ部門優秀作品賞受賞。