ギータ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
思わず「やめたげて!」と言いたくなります
設定が斬新です。性同一性障害とまではいかないと思いますが、異性へのあこがれ、願望というテーマを扱っていて、触れたことが無いジャンルでしたが、みるみるうちに引き込まれていきました。見てない人で視聴を考えている人には、是非見てもらいたい作品です。
原作未読ですが、原作では小学校からスタートし、アニメ以降のエピソ-ドもあるので、なんとか読みたいなと思っています。
逆にアニメは小学校編をばっさりなくし、しかも実際の10話と11話を編集して1つの話にしています。それでも物語に支障を与えないで進め、小学校編がなくても、とくに違和感を感じなかったため、アニメスタッフの構成力の高さを感じました。
作画が全くと言っていいほど毎回同じです。半端ないくらい安定していて、特に背景がとてもきれいです。まぁ動きがとても多いアニメではないわけですが、心、内面をテーマとした内容のため悪しからず。
設定は特殊ですが、各キャラクターの書き分けがしっかりされていて、自分が本当はどうしたいのかまだよくわからないというように、単に設定を強調するのではなく、リアルな葛藤も描かれています。むしろ伝えたいのは、その葛藤などの自己決定までの過程、そして最終的な答えというような、キャラクターの心情変化や成長ではないかなと思います。
以下少し特殊な登場人物の紹介を少しだけ
{netabare}
男だけど街中を女装して歩くほど、それでも好きなのは女の子という二鳥
男だけど女装したり、声変わりに恐怖し、それでいて自分は男が好きなのかなと悩むまこちゃん
女だけど女の格好が本当に嫌で男子に生まれればよかったと思う、それでも自分の名前、一人称をわたしということに何にも違和感を持たず、誇りに思っている高槻さん
男だけど女として生きていくことを決めたユキさん
ユキさんは完全に道を決めた人ですが、似鳥や高槻さんは色々悩んでいて、ユキさんや友達に相談したり、自分で決意したりと、葛藤しながらも現実に立ち向かって、自分なりの答えを探して進んでいきます。
{/netabare}
話は、見ていてこっちが恥ずかしくなるというか、実際でやっていたら間違いなく黒歴史確定だなというようなことをガンガン盛り込んできます。
そんな見ていて不安になるような展開でも、最後には良かったなと思える、ある意味親の視点に近い見方をさせられた気がします。
このアニメを構成する上で、千葉さんの存在が大きかったなと思います。中学生の未発達で不安定な心情の持主代表みたいな扱いの千葉さん、その千葉さんが二鳥や高槻さんを巻き込むことによって、千葉さん以外も中学生の未発達な感じをうまく描写できていたと思います。もちろん千葉さん抜きにした悩みもたくさんありましたが、千葉さんがトラブルメーカーになっていたことは否定できないですよね。ただ単に、異性の問題ばかりを取り上げるのではなく、その問題の上で、あるいはその問題を抜きにして心の葛藤や成長を描いていました。
見ていてとても歯がゆい気持ちにはなりますが、不思議と引き込まれる作品です。