ヒロトシ さんの感想・評価
4.3
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
80年代の青春を追体験しているような感覚
アニメ版のキャラクターデザインを手掛けている『高田明美』さんの画集を所有しています。画集を見て、私なりに感じた事ですが、高田さんにとって『鮎川まどか』はやはり特別な存在であった事は明白で、原作者のまつもと泉さんが描くまどかと高田さんが描くまどかは全く違います。まつもとさんはどちらかといえば、性的に訴える、云わば男にとっての美しい女性という側面が強いのですが、高田さんの描くまどかは、どちらかと言えば母性に溢れた、女性としての美しさを極限まで追求した表現で描かれた絵が実はほとんどです。描き手が男性・女性という違いはあるのでしょうが、これだけで、鮎川まどかというヒロインがいかに魅力的だったのか伺えますね。ただまどか以外のヒロインに魅力がないかと言われると、そういうわけでもなくて、ひかるちゃんやまなみ・くるみの姉妹もそれぞれ個性的で非常に可愛らしいキャラクターはちゃんといます。
{netabare}三角関係をテーマにしていますが、そこまでドロドロしたものではなく、恭介・ひかる・まどかの3人がつるんでいる展開が大半を占めます。途中シリアスもありますが、基本的にはすぐに問題は解決するんですよね。この味気ないともあっさりとも取れる、恋愛作品としては無難すぎる展開がきまオレの良い所でもあり悪い所でもあります。
またアニメオリジナルがこの作品の場合強く表に出てしまい、原作との違いは未だ評価が分かれるところです。ただ私は爽やかな青春作品として普通に楽しめるので、その点だけ損なわれていないという箇所で見れば、アニメはそれはそれで良いんじゃない?というスタンスで落ち着いていますね。無難すぎる展開に彩りを添える要素として、超能力という設定があったりしますが、それでもやはり恋愛作品としては落ち着いた雰囲気になっていますね。全体的に。
アニメ版のOPはどれも凝っているのが特徴でもあって、1stOPではカット200枚以上を使っていると言われる程、スピード感のある演出をしていますが、3rdOPでは逆にワンカットで長回しをする演出を試み、非常にゆったりとした雰囲気で構成されています。OPに対するこだわりはアニメの中でも随一といっても良いかもしれません。{/netabare}
私はこの作品リアルタイムで体験していないので、当時の青春が一般的にどのようなものだったのかは結局想像しか出来ません。実際はどうだったかは分かりませんが、この作品の影響で当時の学生は今より大人びていたんだろうなあとそういう風に感じています。勿論鮎川まどかの印象がそうさせるのですけどもね。80年代の青春を追体験しているような感覚というのはそこに由来しています。