「PSYCHO-PASS サイコパス(TVアニメ動画)」

総合得点
90.2
感想・評価
5599
棚に入れた
26468
ランキング
60
★★★★★ 4.1 (5599)
物語
4.3
作画
4.0
声優
4.1
音楽
4.1
キャラ
4.1

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ネタバレ

disaruto さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

「法」と「管理社会」。とっつあんがテンプレ刑事でかっこいい

制作はProduction I.Gのオリジナルアニメです。
ジャンルはSF警察系です。
総監督本広克行、ストーリ原案虚淵玄、キャラクター原案天野明という有名なスタッフが携わっています。
若干グロ描写があるので苦手ならば注意です。
「攻殻機動隊を超える」をモットーとして作ったということでかなり力を入れていたように見受けられます。(私は「攻殻機動隊」を途中までしか見ていないのですが)

シュビラシステムによって犯罪係数を測定され、精神までもが管理される近未来で活躍する公安局を、常森朱(つねもりあかね)を中心にして描きます。
序盤は朱たちが槙島の関わっているさまざまな事件を解決していき、終盤では槙島との直接対決となります。
若干序盤は退屈に感じるかもしれません。

後半の14話から本筋にかかわる大きな事件が起き、話が大きく動き始め、そこからは怒涛の展開が繰り広げられます。
最終回は意見が分かれそうな感じですね。


以下考察。
{netabare}「法」について。
{netabare}「法」とは人間が遵守するべきものであり、行動を規定され、逆らうことは無理に等しいです。
「法」には大別して二つの種類がありますが、それは「法則」と「法律」です。

「法則」とは「慣性の法則」・「質量保存の法則」といったたぐいのもの、「法律」とは「民法」・「刑事訴訟法」といったたぐいのものです。

「法則」というものは必ずそこに存在していますが気づかなければ無いに等しい。
当たり前だと思っていたらそこで完結するということです。
作中で槙島は盲目的にシュビラを受け入れる人々を無個性として批判しています。
日常的になってしまったものを批判することは非常に難しく、受け入れるほうが圧倒的に楽です。
しかし槙島は「命を輝かせる」ためにシュビラを否定し続けます。
ちょっと行き過ぎていますが、槙島の考えに共感できることはあると思います。

「法律」について、朱は「多くの人が紡いできたものだから、不完全であっても守らなければならない」としています。
ソクラテスの言う、「悪法も法なり」ですね。
前提として法律が正しいとは限りません。
作り出したのが人間なのだから恣意性があるのは仕方のないことです。
それを改善していかなければなりませんが、法律を作り出しているのが作中では犯罪者まがいの免罪体質者の脳なのですから、この社会がいかに綱渡り的状況なのかがわかります。{/netabare}

「管理社会」について。
{netabare}この世界ではシュビラシステムが人の生活に干渉し、完全に人を支配してしまっています。
作中で少しミシェル・フーコーの「監獄理論」が展開されていました。
最少人数で最大人数を監視するシステム。
脳みそ集合体などに支配された社会に自由なんてものは果たしてあるのか?

ヘルメット事件では支配権力が一瞬にして崩れ去るさまが、バイオテロでは一個体にもたれかかる危険さが描かれています。
一つのものだけで統率されたものなど脆く、儚いものです。

人間も同じように一筋縄ではいかない個性の集合体。
十人十色であって人それぞれなんです。
前述しましたが、それぞれ人間が持つ「命の輝き」というものを大切にするべきなのでしょうね。{/netabare}
{/netabare}


総括して、「相棒」くらいしかまともに警察系を見たことがない私ですが、警察アニメを初めて通して見て、「アニメの警察ものも悪くないな」と思いました。

この作品の難点はやたらと説明口調・哲学談議が多い点でしょうか。
そこが気にならなければぜひ。
どうでもいいですが、「攻殻機動隊」が見たくなりました。

投稿 : 2013/05/10
閲覧 : 343
サンキュー:

41

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