disaruto さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 2.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
キャッチコピーの意味に慄く。圧倒的に作画で損してる作品
制作はA-1Picturesで原作は貴志祐介氏の小説です。
ジャンルはSFミステリー系です。
主人公の渡辺早季の年齢に合わせて12歳編(1~7話)、14歳編(8~16話)、26歳編(17~25話)で構成されています。
主演は初主演となる種田梨沙さん。
12歳から26歳までをしっかりと演じ分けていました。
期待の新人さんですね。
音楽も独特の不気味さを良く表していました。
個人的には前半のEDが良いです。
作者がミステリー作品で有名な方なので、設定がしっかりとしていた印象です。
原作読んでいないので置いてけぼり感がありましたが、調べて補完しました。
以下詳しいネタバレと考察。
{netabare}まずキャッチコピーの「偽りの神に抗え」。
当初主人公たちに対する社会制度のことを指しているのかと思っていましたが、バケネズミ側のスローガンだったのは驚き。
裏の主人公としてスクウィーラがいたわけです。
よく考えれば作中で、彼らは人間のことを何度も「神様」と言っていました。
身分は保証されていても、いつひねりつぶされてもおかしくはない立場なので反逆は起こるべくして起こったのでしょう。
次にバケネズミとは何なのかということですが、呪力を持たぬ人間を支配するために遺伝子を改良し、醜い姿に変えたということでした。
人間の驕りっぷりがすさまじい。
愧死機構云々という話はここに関わっています。
この作品は「人間の汚さ」をうまく描いていると思います。
呪力を持った人間がバケネズミを作り出し、そのバケネズミが人間に反逆を起こす。
姿かたちは違うものの、やっていることは人間どうしの戦争です。
お互い容赦なく殺し合いを行います。
その目的は「自分たちの地位を守るため」。
私感ですが、この作品はバケネズミのほうが人間的に描かれているような気がしました。
皮肉なのでしょうか?{/netabare}
作画については最近のアニメにしては随分と粗かったですね。
この点で評価を落としている節があります。
あとは全体的に良かったので残念です。
総括して、14歳編でちょっとダレますが、26歳編からはフルスロットルで物語が動き出し、手に汗握りっぱなし。
あやふやにせずしっかりと話をまとめてくれた点も高評価です。
難しい理論も多少出てきますが、SFが好きならば見て損はしないでしょう。