ヒロトシ さんの感想・評価

4.1
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態：観終わった

割り切りが功を奏した

恋愛ゲームのアニメ化にありがちな、途中まで、ヒロインを同時攻略するハーレム展開に持っていって、話を盛り上げて、終盤で本命を決めて、そのまま完結に持っていく手法ではなくて、最初からヒロインの話をオムニバス形式で分ける手法が凄く良い方向に作用したかなという印象を持っています。恋愛ゲームにはそれぞれユーザーが贔屓するキャラがいるのですから、その贔屓キャラの扱いに差が出てしまうと、自分の好きなキャラが不遇の扱いを受けた場合はなんとなしに面白くはないものです。そういう意味でも全ヒロインに均等に登場回数を与えたのは英断であったと思います。他の作品のレビューでも言及したのですが、ハーレム展開は安易に作れるように見えて、意外に作品内での役割分担が難しいので、魅力的な話に出来る自信がないなら、ある種の割り切り感を持って作ったほうが、作品の方向性にも一貫性が出て、作る側としても見る側としてもベストなのかなあと思ったりもします。

オムニバスが功を奏したとはいえ、キャラクターに魅力がなければ、アマガミは成功はなかったでしょう。主人公橘の一見真面目そうに見えて、実はかなりの変態というギャップにやられた視聴者は数多いと思います。ヒロインは一昔前の若干古臭い要素を持つ、所謂オーソドックスなキャラが多いように見受けられますが、かえってそれが橘のギャップの面白さを引き立たせる結果になっており、その部分でメリハリが出ていたように感じます。ストーリー的には大変ありがちな話で、特に目を引く展開はないのですが、キャラの魅力がそれを充分補うことに成功し、前述したオムニバス形式によって、その魅力が更に全面的に押し出されたような気がします。

まあ1クールが多い恋愛ゲームのアニメ化で、2クールも与えられた点も運が良かったといえるでしょうが、そのメリットさえも充分に活かせる作品もあるとはいえない中で、この作品は自分達の出来る最大限の仕事をしたといえるかもしれません。私はアマガミは作品どうこういうよりも、制作陣の仕事ぶりを評価したい気持ちが大きいですね。