たつじん さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
哀愁ただよう現代絵巻
1期・2期を通したレビューとして書かせていただきます。
いまさら内容を書くまでもないですが、法で裁けない憎い人間を「地獄少女」こと「閻魔あい」が依頼人にかわって地獄送りにするという勧善懲悪ストーリーです。
(あくまで基本的にはですが・・・)
OPはTV時代劇の『必殺シリーズ』のオマージュ作品であるのを強く感じます。
「地獄絵図」や「あい」たちのカットで始まるナレーションが「貴方の怨み晴らします。」で締めくくるあたりは、まさにそれを彷彿させました。
ただ『必殺シリーズ』と大きく違うのは、観終わっても「やるせない気持ち」が心に残ってしまうところでしょうか・・・。
作品全体に哀愁が漂っていて、地獄流しからEDまでのシーンは観ていて物悲しさを感じてしまいます。
「人を呪わば穴二つ」依頼人も成仏できず、死後に地獄を彷徨うことになるのにも原因はあるのですが・・・
それ以上に、家族や友人、誰ひとり相談できずに地獄通信しか頼る「すべ」がなかったという・・・社会から孤立した依頼人にあるのかもしれません。
何か現代社会の悲しい縮図を見ているようです。
物語は基本1話完結型ですが、1期2期ともにラスト数話は壮絶なストーリー展開で見応え十分というか、個人的にはとても印象に残るエピソードです。
「あい」の住む茅葺き屋根の小屋や着物、夕焼けに映える彼岸花・・・どれも日本の伝統美ですね。
流麗なタイトル文字に始まり、場面にマッチしたBGMや「いっぺん死んでみる?」に代表される言葉とその響き、隅々にまで演出が行き届いていました。
絵画を思わせる美しいOP・EDを一見していただければ、その価値は見いだせるでしょう。
今思うと、この作品を初めて観たときに、その描く内容に衝撃を受けながらも、毎週欠かさず観てしまったのは心の中に共鳴する部分があったのでしょうね。
そんな弱い心を持つ自分にとっては反面教師になる作品でした。