STONE さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
成長する少女達の夏
リアルタイム放映時はなんだかんだ言って、キャスティングが売りだった印象の作品。
スフィアが全員参加した作品自体はこの作品以前にも幾つかあったが、4人がメイン
キャストという作品はこれが初めてだったんじゃないかな。違っていたらごめんなさい。
キャラによって本気度は異なるが、アイドル志望の女の子達の話だけに歌のシーンが
多かった。ただ中学生というキャラ設定ゆえに、普段のスフィアより幼い歌い方をしている
のが面白かった。
昔、何かで知ったのだが、4人の主要キャラを作る方法論の一つとしてまず二の線と
三の線のグループに分ける。
二の線は便宜上の言葉で、ここでのキーワードは真面目、オーソドックス、正統派、まとめ
役など。
三の線の方のキーワードは変人、おかしい、異端、いじられ役など。
この二つのグループを更に動と静に分ける。
作品にもよるが、二の線の動が熱血漢主人公タイプなら、静はクールなタイプとか。
逆に二の線の静が温厚な主人公タイプなら、動が暴走気味のキャラとか。
三の線はコメディ担当が多く、動がムードメーカーだったり、トラブルメーカーだったり。
静の方は癒し系だったり、天然系の不思議ちゃんだったり。
で、この作品で当てはめると、二の線の動が逢沢 夏海、二の線の静が水越 紗季、三の線の
動が花木 優香、三の線の静が環 凛子になるのかな。この辺のキャラの描き分けはよくできて
いるなという印象。
立ち位置的には夏海と紗季が主役なのだろうが、実質的に話を動かしているのは優香という
印象で、各話のキーとなるトラブルを巻き起こしたり、イベントを企画したりするのは彼女で
あることが多い。
ただそれだけでなく、夏海がその場の感情に支配されて全体が見えなくなったり、紗季が
比較的客観的に物事が見えるゆえに、逆に既成概念に囚われてしまうことがある中、一見
お調子ものであまり物を考えていない優香が、本質的部分を押さえていたりする。
ストーリー的には1話、もしくは2話ごとに御石様の力で起きる不思議な奇跡による
ドタバタがメインだが、単なるコメディで終わらずに、この経験によって少女達が少しづつ
人間的成長をしている感じ。
ここで起きる奇跡は人格入れ替わり、二人のキャラのくっつき、一人のキャラの分裂、
透明化、タイムリープ、時間の巻き戻しによるリセットなど、既存の過去作品によく見られた
もので、斬新さはないもののある種の安定感は感じる。
ストーリー全体を通してのキーポイントは紗季が転校してしまうということ。おそらく
今まで大きな問題もなく過ごしてきた彼女達にとって、ずっと一緒だった4人組の一人が
欠けてしまうということが初めての大きな障害だったはずで、この問題に対して人間的成長を
遂げて、それを克服していく過程がよく描かれている。
全体を通してみると、様々な奇跡自体がこの問題に対処するために御石様が起こした
ものかと思えてくる。
何かを学んでいく少女達の姿は微笑ましいし、応援もしたくなる。
ただ、こういった巻き起こる事象を通して、成長していくパターンは「プリキュア」
シリーズなどに通じるものがあるが、ああいった作品はその作品を見ることによって
視聴者にも何かを学んでほしいという意図を持ち、メイン視聴ターゲット層に小さな女の子を
想定しており、そういう意味ではこの作品は深夜アニメとしては場にそぐわない印象があった。
あと時折作画がひどくて、結構キャラの顔が崩れたりしていたなあ。