りゃむ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
30代40代の人にぜひ見てもらいたい
というのもこの作品・・・
ストーリー展開が1990年代のテレビドラマのよう。
話はそれるのですが最近のドラマってキャラ押しというか演じてる役者ありきで作ってる感があって演出、脚本、演技その他諸々やや幼稚な印象を受けるんですよね。
90年代のドラマ作品いわゆる月9全盛期なんですが・・・はもっとこう・・・大衆向けでありながら地に足の着いた面白さがあったといいますか・・・個人的には聖者の行進とビーチボーイズ、魔女の条件、伝説の教師なんかが好きですw
さてこの坂道のアポロン、ストーリーを見ていてまさにその感じ!ノスタルジーを感じました。
悪く言えばそういったものの踏襲なんでしょうが、評価したいのはそれをあえてアニメでやるという点です。
ノイタミナ、つまりはフジテレビなんですが、こういうのを作らせると天下のフジということなんでしょうかw
この作品は1966年という時代背景のもと長崎を舞台にジャズを通した青春恋愛ものです。
この青春、恋愛の描写がまさに90年代ドラマといった感じでした。
そういった点で突飛な演出にこだわらずカメラワークと声優陣の演技、背景描写、画面の色彩といった地味な演出で必要十分なすべてを込める。それによってコテコテにならずアニメに触れたことがないような人でもとっつきやすい雰囲気を作り出しています。
素晴らしかったと思います。
そして特筆すべきは皆さん書いてるとおり演奏シーンですね。
とにかくよく動く!!作画担当の方々お疲れ様でしたw
さてこの演奏シーンなんですが、これこそ坂道のアポロンをアニメでやる意味だと思うんです。
実写映画BECK、水嶋ヒロを主演に据えたバンドマンの話なんですが、この作品の中やはり一番の見せ場はバンドの演奏シーンにあったはずです。
そこでとられた手法が《演奏シーンの映像のみを流し完全無音にする》というものでした。
それはそうです。原作では天才ギタリストであるリュウスケ、天性の歌声のコユキこういったものを音楽素人である役者が作れるわけないのですから。
これがアニメの強みと言ってもいい音の発信源に縛りがない。
このアニメは素晴らしい作画で演奏シーンを演出し、その上に乗る音楽はカウボーイビバップ音楽担当の菅野よう子さんが担当しました。
それによって作り出されたのがこの作品の目と耳両方を魅了する演奏シーンだったと思います。
この点で先に書いた90年代ドラマを踏襲しかつ1ランク上の映像作品へと昇華させることができたのではないでしょうか。
けいおんやNANA,BECK(アニメ版)など音楽を題材にとった作品が高評価を得ているのは映像に左右されずに音楽にこだわれるという点にもあるんだと個人的には考えています。