ヒロトシ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
スタッフの原作愛がダイレクトに伝わってくる名作
小室哲哉が音楽?いやいやあの人の時代はもう終わったでしょ?良い音楽だったのは認めるし、小室ファミリーは90年代を席巻してたのは確かにそうだよ?でも何か都落ち感あるよなあ。いや原作は名作なだけに、小室音楽が似合うかどうか・・・ブツブツ。
で、不安にかられながらも1話を見まして、この作品は見事に不安を打ち砕いてくれました。単にカッコイイ音楽を無理矢理入れれてみましたじゃなくって、きちんと作品に合わせてくるバランス感覚が優れている。音楽だけでなくて、平成版009として、昭和の作品とは違う独特な雰囲気を保ちつつも、面白さはちゃんと維持している。敵のブラックゴーストとか加速装置とか、平成の時代では若干新鮮味がなく、古臭いという部分もあったにも関わらず、リメイク版としてここまでのものに仕上げてきたのは今考えても凄いなあと思います。でやっぱりそれを支えたのは演出面が大きいわけで。1話のラストシーンでキャラクターの台詞を一部歌に被せてくるカットは当時鳥肌が立つ程格好良かったのを覚えています。
後ファンに向けての心遣いで泣いたのが、0013が第1話のEDに登場するのですが、その時彼はナンバーの制服を着た状態で出ているんですよね。どうせネタバレなんで喋っちゃいますが、彼はもう少しでジョー達の仲間になるはずだったキャラで、ゼロゼロナンバーの敵キャラとしてはかなり後味悪い結末を強いられたキャラでした。そんな彼の『あったかもしれない未来』をEDの演出で使ってきてくれた。単なるリメイクでなく、スタッフの原作への敬意をこの作品からはあらゆる部分から感じ取る事が出来ました。そういう意味でも私はこの作品非常に好きですね。
作り手が楽しんで、愛を込めて作ってるというのは、視聴者は敏感に感じ取れるもんです。リメイクというと、どうも『改悪』という印象が目立ちますし、私も安易なリメイク作品は好きではないですけども、平成版009は原作ファンも納得の出来だったなあと思います。出来が悪いリメイクとこの出来の良いリメイクの差は何なのかと考えると、やはり作品に対する『愛』に他ならないと、私はそう確信しています。