りゃむ さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ありえなくないから怖い
メディア良化法という法律が制定された近未来を舞台に表現の自由を守るために様々な書物を守る図書隊という軍隊みたいな組織とこの法案の番犬良化隊との抗争と図書隊内の人間関係を描いた作品です。
この作品、原作は2006年、アニメは2008年放映でした。
まずアニメとしてですがノイタミナ枠ということもありクオリティに関して文句はありません。
女性キャラが主人公で恋愛が本筋にありながらも設定を意識し図書隊と良化隊の抗争劇もかなり面白く描けています。
この作品のすごいところは予言的内容になっている点だと思います。
原作として発表されたのが2006年でした。
そして青少年健全育成条例改正問題が起こったのが2010年です。
この問題自体は都の条例であり作中のメディア良化法ほど規模は大きくないですし、現在の日本でここまで過激で偏った状況にはならないと思いますが、まさに作中で問題提起されている表現の自由侵害やそれに連なる人権侵害問題への抗議的内容が数年先の未来を危惧していました。
そういった視点でこの作品を見るとすごく興味深く、小難しい専門家の討論番組と違って万人にわかりやすく問題を浮き彫りにしていると思います。
そして作者の抗議的意見もひしひしと伝わってきます。
ストーリーの主軸が恋愛や人間ドラマにあるので物語としても面白くストレスなく視聴することができます。
個人的には都条例は反対派です。ここで書くことではありませんが・・・
この作品はまさに思っていること、危惧していること代弁してくれているようで共感が持てました。
そして渦中にいる作家自身が自分の意見を作中でぶつけるというのもすごく正しい形だと思います。
この作品のメッセージはもっと多くの人に伝えるべきなんじゃないかと思います。