ワタ さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
萌えハーレムの「お約束」に言及・強調した作品
原作既読、1期視聴済み。
1期よりあるゆる点でパワーアップしてると感じました。
分かりやすいところで言うとキャラデザ、というより色指定。
1期のケバい色から薄味になったことでだいぶ見やすく、可愛くなりました。
内容に関しても、上手く説明しづらいんですが、会話のテンポとか良くなった感じはします。
1期のような悪い意味でのgdgd感は解消され、笑わせるポイントでしっかり笑いをとれてる。
原作者がシナリオの構成に関わっているようなので、その影響も大きいかと思われます。
キャラに関しては、もう散々言われてますが理科に尽きますね。
お約束で済まされていたハーレム構造にメスを入れ、派手に引っ掻き回してくれました。
また髪型や服装もバリエーション豊かで、視覚的に楽しめるアニメの恩恵を受けてます。
夜空派の自分としては、星奈や理科に立ち位置を奪われ
あまりの扱いの悪さに血反吐を吐きながらの視聴となりましたw
これが逆転フラグであることを信じるしかないですね。
さて、ここからは「はがない」という作品の特色についての考察です(長文注意)
・「残念」は立派な萌え要素
本作に出てくる登場人物はリア充に憎悪を抱いてたり、エロゲでハァハァしたり、
BLを熱く語ってみたり、邪気眼厨二病患者だったりと、揃いも揃って残念な性格の持ち主です。
ただこの「残念な性格」というものは、なにも本作に限ったことではありません。
例えば同じラノベの「俺妹」にもエロゲでハァハァしたり、BLを熱く語ってみたり、
邪気眼厨二病患者のキャラだって普通に出てきます。
俺妹はじめ、そういった残念っぷりが作品内で言及される作品はたくさんありますが
「はがない」ほど残念っぷりを強調して描写した作品はないんじゃないかと思います。
残念っていうと聞こえは悪いけど、二次元キャラの性格付けとして
今や立派な萌え要素となっているのです。
完璧美少女よりもちょっとぐらい欠点があった方が可愛げがある、なんてよく言われますが
本作はその欠点部分を殊更強調することで、よりキャラへの親近感や庇護欲を抱かせるのです。
萌えとかよく分からんって人には「なにいってだこいつキメェw」と一蹴されそうですが
本作を好んで観るような層の人からは納得して頂けるんじゃないかと・・・w
ただいくら残念が萌えに変換されるからと言って、残念にも限度ってものはあります。
残念→ドン引きにならないよう、バランス感覚が重要。その辺り原作者はかなり上手いですね。
{netabare}ただ第4話、遊園地の話での夜空と星奈の「ダブルゲロ」これは正直アウト。
そこは定番の「キラキラ光るゲロ」にしてくれ! (ill´Д`)オェェェェェェェ{/netabare}
・お前ら他に友達いないの?
萌えハーレムものは大抵、男主人公とハーレム要員のみっていう
非常に狭く閉鎖的なコミュニティの中で話が展開されていきます。
そういった設定の作品を見ていると「お前ら他に友達はいないのかよw」って
疑問に思っちゃうことってありませんか?私だけですかね・・・
男主人公は大概そうだし、無口コミュ障系ヒロインにもその傾向が強いと思われます。
この点において「はがない」は、作品内で言及するばかりか、
作品のメインテーマとして扱っている、というところが面白いです。斬新。
もっとも本作の隣人部メンバーは、リア充氏ね、友達すくねぇとか言いつつ
メタ的に見ればこれ以上ないリア充ライフを送ってるわけですが
彼らが欲しているのはあくまで一般人の友達(モブキャラ)なので(という設定)
そこはあまり深く考えない方が懸命かと思います。
友達作りに奮闘する真面目な物語を期待してしまうと見事に裏切られますのでw
・突発性難聴
ハーレム構造維持のためには、男主人公は超絶的に鈍感でなくてはなりません。
ヒロインの主人公への好意を寄せる台詞に対しても「え、何だって?」
といった具合に、ハーレムアニメの男主人公は皆、突発性難聴という病を抱えています。
{netabare}「はがない」は、このお約束を逆手に取っているわけです。
原作未読の方は驚いたでしょう。まさか聞こえないフリをしてたなんてね!
後付設定乙って批判もごもっともですが
個人的にはこの暗黙のルールに踏み込んでくれたことを評価しています。{/netabare}
ハーレムアニメのハーレム構造をお約束として楽しんでる一方で
その歪なキャラ達の関係性にイライラしてしまうこともある。
そんな自分にとって「はがない」は
キャラ萌え的にもメタ的にもツボに入りまくりで、非常に楽しめている作品です。
なお、他のハーレム作品について幾つか例を挙げると
お約束を頑なに貫くことでキャラ萌えの質を高めたのが「インフィニット・ストラトス」
主人公が積極的にハーレムを構築するのが「生徒会の一存」
ハーレム構造に極めて現実的な視点からの解答を示したのが「スクールデイズ」
一口にハーレム作品と言っても、色々あるわけですね。
・おまけ
上記以外で本作の特徴として挙げられるのは「フットワークの軽さ」でしょうか。
具体的に言うと、読者のニーズを考慮し臨機応変に話の展開や設定を変える、というもの。
ニーズに合わせるってのは他の作品だって当然あるけど
はがないは本当にあっさり、大胆に変えてきますからねw ちょっと露骨なくらいに。
例えば「柏崎星奈」が人気と分かれば、星奈の出番やエピソードを増やし、
小鷹とのフラグを着々と積み重ねていく。
同じメインヒロインの夜空と比較すると扱いの差が顕著になっていきます。
{netabare} 他にも色々あるけど、一番驚いたのは何と言っても「幸村の性転換」ですね。
男の娘の需要がイマイチだと判断するやいなや、あっさり幸村を「女の子」にしてしまった。
「男」である確定描写がなかったのは、やはりこういった事態を予測していたからなのか。
随分と思い切ったことを・・・その結果、しっかり幸村株上昇しましたからね。大したものです。{/netabare}