にゃんた さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
上辺のトリックだけを見てはいけない
学園の図書館塔の最上階に出没する、人との関わりを持たない天才的な頭脳を持つ少女。
純朴な留学生の青年との交流を通じ、
少女の哀しい出生と運命の秘密に迫っていく物語。
第一次世界大戦後の、短い平和の時期に出会った2人。
第二次世界大戦(史実とは年数が異なる)の開戦を間近に控え、運命が動き出す。
彼女の天才的頭脳により、様々な事件のトリックを暴きながら物語は進行する。
事件にちりばめられた手がかり=「カオスの欠片」を
彼女の頭脳である「知恵の泉」により「再構成」して真相に迫る。
・・・というものだが、大げさなネーミングにそぐわない、単純なトリックもちらほら。
後半は手ごたえのある内容となるが、
前半エピソードのトリックはお世辞にも出来が良いとはいえない。
TV放送当時には8話で断念した。
しかし、実は、各話ごとに、少女の出生や運命という、
「作品の本題に関するカオスの欠片」がちりばめられている。
それを視聴者が「再構成」しながら楽しむべき作品なんだろう。
上辺の単純なトリックにのみ注目して、浅い、などと判断するべきではない。
追うべきなのは、少女自身に関する「カオスの欠片」なのだ。
他の方のレビューをきっかけに再視聴して、初めてこのことに気づけた。
この作品の難点は、特に前半部分の演出の稚拙さ。
たとえ、犯人の自白に頼るB級トリックな種明かしがあったとしても、
自白せざるを得ない状況をいかに作り出したか、
という経緯を十分に描くことで説得力は得られるはず。
また、重要なシーンで物理的にありえない演出がなされることも
個人的には感情移入を妨げるマイナスポイントだった。
原作者の他の作品を読んだ限りでは、設定やロジックは面白いものの、
物語が動くシーン以降の文章が単調で抑揚がなく、ご都合主義的な印象があった。
GOSICKについては原作を読んでいないため、
演出の稚拙さが、原作者の文章のせいなのか、製作側の力量の問題なのかは分からない。
いつか時間を取って読んでみたい。